毎年12月になると、「あっ*と言う間の一年だった!」と必ず言っている自分がいます。今年はまた、いつもとはだいぶ違う一年でしたが、皆様はどんなお気持ちで12月を迎えられたでしょうか。
■製作年:2011年
■サイズ:37cm x 23cm x 20cm
■素材:foam sheet and mixed media
■所蔵:個人
■画像クレジット:ⒸKANA HARADA, Photo by Makoto Takemura Unauthorized reproduction prohibited.(無断転載禁止)
今週の作品は、2011年作の“WINK/ウィンク”です。 ダラスから車で約4時間半程、NASAで有名なヒューストンの画廊での個展の為に作った作品です。
ちょうど良いガラスの器があったので、たまにはテーブルトップ作品も楽しいかな、と思いました。私は何故か家の中の植物は、水栽培が好きなので、そんなイメージもありました。白のフォームシートは、光を通す“透け感”を楽しめるので、裏と表の面白さも感じて頂けるかもしれません。
原田佳奈がどうしても好きで、作品に登場しがちなこだわりは
1)透け感
2)素材の軽さ
3)柄やパーツ等なんらかのサプライズをあちこちに”隠す”こと
4)構図などのスタイルとして”ワンポイント”があること
5)紅白という色のコンビネーション
6)無地にちょっとした差し色
7)ホワイト オン ホワイト、のように、同系色に同系色を使うこと
8)線の美しさへのこだわり
9)誰にも見えないところこそ、仕上げがキレイであること
10)全体の響きがどちらかと言うと「静か」であること
……などなどです。
美大の予備校に通っていた10代、ある日先生に「綺麗に描こう描こうとしなくて良いんだよ」と言われて頭に血が上った(笑)微笑ましい思い出があります。
なぜ頭に血が上ったかと言うと、私自身はいつも予備校の課題だけではなく、オリジナルの作品ひとつひとつにそれはそれは熱く燃える魂と炎で挑んでいたので、「綺麗に描こうとする」などということとは真逆のところにいたからです。
ただ、それ以来フト*気がつくと、描いても描いてもどの作品も、そんな炎舞い上がりアブラみなぎる重みあるハードボイルド?な響きとは程遠く、頭をひねり続けました。
が、いつしか、その対極にある、よく言えば軽やかさや楽しさ、暖かみ、どちらかと言うと闇や重みよりも光のような響きこそが「自分の持ち味」なのかもしれない。。。と、気づいたのです。その時から自分の中での何かがほどけるように溶けはじめ、今考えてみると、ひとつの大きなブレイクスルーでした。
自分の持ち味=もっと自分をよく知り、それがいつか自分の表現したいことと、合致するんじゃないか、などと思い、ただひたすら描き続け、作り続けた10代20代でした。今はもうこのような迷いはありませんが、言うまでもなく、成長や学びというのは終わることは決してありませんね。
常に成長、変化、次の次元へ、と前進前進!。。。しつつズッコケは絶えませんが(笑)「これでよし」と言うことがないこの道が、私には本当に嬉しく楽しく、最も心踊る、面白いことなのです。いつもまったく一人の現場ではありますが、学びも反省も体験も、喜びもやりたいことも果てしなく山積みです。
ところで“ウィンク”と言えば、世界中きっとそれぞれの文化に、言葉以外のいろいろな表現があるはずですね。
私にとってのウィンクは、ちょっとした“笑顔”。”ウフフ”♪。 時には”元気?”や、会話の間の”ほらね♪”だったり、暗黙の了解や、ちょっとした声かけ、親しみの表現であり、”うなずき”でもあります。
特にここアメリカ南部では、知らない同士でもちょっとした笑顔や、一言二言を交わすことがとても多いので、マスクの生活になってからなんとも言えない障害物感がどうしてもあります。が、逆に不屈の明るい南部魂は、今となってはマスクごしでもマスクを遥か彼方に越えて、いつでも底抜けに明るい挨拶を投げかけてくれます。
この作品は、大自然も宇宙も、我々が気づこうと気づくまいと、いつも力強く優しい眼差しで、私達ひとりひとりに「ここにいるから。守っているから。」とウィンクを送っていてくれている、と思えてしょうがない時に作った作品です。
それは今でも、きっと当たらずとも遠からず、と思っています。私を生かしてくれている周りのすべてに、そして自分自身に対しても、自戒も含め、特別暖かな健康な眼差しのみを向けて生きてゆこう、とつくづく思う12月です。
皆様にとって、明るく美しい週末でありますように! xoxo