あと一週間でクリスマス。サンタクロースには移動の自粛要請はなく、世界中を飛び回って良いそうですね♪ 皆様はどんな師走をお過ごしでしょうか。
■製作年:2014年
■サイズ:73cm x 51cm
■素材:透明水彩
■所蔵:個人
■画像クレジット:ⒸKANA HARADA, Photo by Makoto Takemura ※無断転載禁止
今週は、2014年作の 「SLEEPY FOREST」です。
東京で入院していた母の元へ毎日通いながら、彼女の最後の数ヶ月間のプロセスを描いた作品です。
ゆったりとうたた寝をしているような三日月は母で、周りは母が受けていた、時空を超えた愛とあらゆる恩恵です。一番上に輝く星は、あちらがわでこちらを見守りつつ、待ち構えていた父の姿です。
この作品で使った手法は、はじめに白い画用紙全体に透明水彩絵具の青や緑や紫などの色を何層も重ね塗りします。その後、すべてを消すかのように、黒に近いミッドナイトブルーや墨色といった、濃い目の色を画面全体に塗ります。最後に、水だけを含んだ絵筆で絵の具を取り除いてゆく、というものです。絵の具を取れば取るほど線が白く出るというわけで、前回の「PRANA」も同様の手法を使って描きました。
この手法は、私の筆や水の使い方、水量にピッタリで、描いているうちに自然に生まれたものです。
そのアイデアは、幼稚園時代の思い出にヒントがありました。当時、厚紙にあらゆる色のクレヨンで塗った後、全体を黒のクレヨンで塗りつぶし、そのあとつま楊枝的なもので線を描くと、いろいろな色が黒の下から出てくるというお絵かきをしていました。
幼稚園時代のこの体験を、絵描き魂がしっかりと捉えたのでしょう。かなり鮮明に残っている思い出のひとつです。おもしろいもので、今の私を支え前進させてくれる、貴重な体験のひとつとなっています。
「SLEEPY FOREST」は2015年に、ここダラスのTalley Dunn Gallery(TDG)での初個展で出品しています。
2017年には、Forty Five Tenという、それはそれはおしゃれなカフェを併設していた高級家具・小物店と、TDGとのコラボレーションイベントでも展示しました。
このイベント展示の仕方も画廊や美術館とは一味違い、またちょっと楽しい体験でした。「SLEEPY FOREST」にも買い手がつき、いかにも母が好きそうなこのお店からお嫁にゆくことができたので、母もきっと喜んでくれたと思います。
幼稚園時代は、毎日のように、住んでいた川崎市と幼稚園のあった港区の間を送り迎えしてくれた母でした。その輝く笑顔が今日も私に絵筆を取らせ、前進させてくれています。
何かと忙しい師走。皆様にとって、ホッ*と一息つける週末でありますように♪