最近、話題のリラックスヨガをご存じですか?
ゆっくりした動きで身体のコリを緩めたり、精神的なリラックス効果を高めるなど、40代から50代女性の慢性的なお疲れに最適です。
今回は、本場インド政府公認のヨガインストラクターで、Eインナービューティサロンを主催する前川衣里子さんにリラックスヨガを教えていただきました。
一般的なヨガやストレッチとの違い、悩み別におすすめのヨガポーズや、身体に固い人向けの“ゆるポーズ”とアドバイスも紹介しています。

スワミ・ヴィヴェーカナンダ・ヨーガ研究財団認定ヨーガ教師、yoggy institute認定ヨガインストラクター。
身体の使い方を細かく伝える指導法は「動きやすくなった」「出来なかったアーサナが出来るようになった」とファンも多く、のべ一万人以上へ指導をしている。指導経験の浅いインストラクターへのスキルアップも指導。ヨガの「本来の美しさに気づく」という教えのもと、考え方、物事のとらえ方も楽になれるようコーチングも取り入れている。ホームページ:前川衣里子
1. ヨガやストレッチと違う?リラックスヨガの効果とは
本記事でご紹介するリラックスヨガは、普通のヨガに比べリラクゼーションやストレス解消に重点を置いているものです。
ゆっくりとした呼吸リズムで無理なくポーズを取ることができるため、ヨガやストレッチで求められる、柔軟性やバランス感覚に不安がある方でも安心して取り組めます。
これからご紹介するヨガポーズも、無理して姿勢を取るのではなく、呼吸を整えながらリラックスした気持ちで取り組みましょう。
2. リラックスヨガの呼吸法と基本ポーズ
ここからは、リラックスヨガの基本となる呼吸法と、3つのポーズをご紹介します。
2-1. リラックスヨガの呼吸法について
ヨガを行うときの呼吸は、鼻から吸って鼻から吐くのが基本です。ただ、呼吸しづらいときには、無理せず口から吐いても大丈夫です。
また、ポーズを取るときの1呼吸は、吸って吐くをそれぞれ5秒ずつのゆっくりとしたペースで行ってください。
基本ポーズはヨガの準備体操にもなるため、目的別のリラックスヨガを始める前にこれらのポーズを行い、十分に体をほぐしてからポーズを始めるようにしましょう。
2-2. キャットアンドカウ

キャットアンドカウの目安:5往復
ヨガポーズの基本と言われるキャットアンドカウ。猫と牛のポーズという名前の通り、床の上で四つん這いになりながら、腰を上下させます。
キャットアンドカウのポイント
- 坐骨から頭頂部までを一直線にする
- ひじを伸ばし、地面に対し腕を垂直に立てる
- 腰を丸めすぎない、反りすぎない

左:牛のポーズ―吸って反る 右:猫のポーズ―吐いて丸める
キャットアンドカウは比較的簡単に姿勢が取れる反面、姿勢が乱れると腰や肩に負担がかかるので注意が必要です。
リラックスヨガでは腰を大きく曲げ伸ばしする必要はありませんので、この基本ポーズの状態からゆっくり取り組むようにしましょう。
2-3. 山のポーズ

山のポーズの目安:ゆっくり5呼吸
全ての立ちポーズの基本となる、山のポーズ。簡単そうに見えて、意外と正しい姿勢を取るのが難しいポーズでもあります。
山のポーズのポイント
- かかとから頭頂部まで一直線になるよう、まっすぐ立つ
- 手を広げない、肘を外側へ開かないように注意する
- 膝に力を入れすぎない、張りすぎない
★注意したい姿勢のNG
- 左の姿勢は、腰を前に突き出し、腰も反っている状態。背筋が弱い方に多く、腰に負担となるので避けるようにしましょう。
- 右の姿勢は、不自然に胸を突き出し、重心が前のめりになっています。
こうした姿勢の乱れは自分では気づきにくいので、誰かに見てもらうか、鏡でチェックするなどして、まっすぐできれいな立ち姿を目指してください。
2-4. 杖のポーズ

杖のポーズの目安:5呼吸
杖のポーズは長座とも呼ばれる、ヨガの座法のひとつ。
腰痛持ちの方や体が固い方は、右の写真のように薄いクッションや折り畳んだブランケットなどをお尻の下に敷くのがおすすめです。
全ての座りポーズの基本ですので、ぜひマスターしましょう。
杖のポーズのポイント
- 腰を立てて、坐骨から頭頂部まで一直線の姿勢をとる。
- 両手は添える程度で、肩の力を抜く。
- 座るのがきつかったら、薄いクッションやブランケットなどを利用する。
3. リラックス効果の高いヨガポーズ10選
それではさっそく、リラックスヨガに役立つヨガポーズをご紹介していきます。ヨガに取り組んだことのない、初心者の方でも取り組みやすいメニューを中心にご紹介しているので、ぜひチャレンジしてみてください。
3-1. 腰痛の改善に役立つヨガポーズ
腰痛の方でも取り組みやすく、痛みを緩めるヨガポーズをご紹介します。
スフィンクスのポーズ

スフィンクスのポーズの目安:3呼吸
スフィンクスのポーズは、腰椎のカーブを取り戻すのに効果的です。腰の痛みを軽くし、背中の引き締めやストレスを減らす効果が期待できます。
取り組む際は、背中を痛めないよう、うつ伏せの状態からゆっくり姿勢を持ち上げるようにしましょう。
下のポーズは、間違った姿勢の例えです。

NG例:スフィンクスのポーズ
スフィンクスのポーズのポイント
- NG例の写真のように、腰だけで反らない(腰を痛める原因になる)
- 腕は肘を中心に90度になるようにする
- 恥骨と肘で地面を押すイメージ
- 首は反らさず、斜め上に伸ばすように。
アルダ・マッチェンドラ・アーサナ、半らせんのポーズ

半らせんのポーズの目安:左右5呼吸ずつ
半らせんのポーズは、凝り固まっている腰の筋肉をほぐす効果のあるヨガポーズです。
床側の足を曲げると膝が痛い人は、伸ばしながら姿勢を取るようにしましょう。
肘で立てた足を支えるのが大変な場合は、上の写真のように手のひらで足を支えても大丈夫。左右どちらもゆっくり行うようにしましょう。
半らせんのポーズのポイント
- 腰を立てて、坐骨から頭頂部まで一直線を意識する。
- 両坐骨をしっかり床につけ、どちらかのお尻が浮かないように。
- 伸ばしている方のひじが逆向きに反らないように注意する
3-2. 肩甲骨や首周りのコリに効くヨガポーズ
中高年の女性が悩まされる、肩甲骨や首コリに効くヨガポーズをご紹介します。あくまでも、ゆっくりゆったりした動きで。痛みを感じるほど力を入れてはいけません。
肩回し

肩回しの目安:前回し・後ろ回し3回ずつ
肩回しは、あぐらで座り手を肩に添え、肘を大きく回します。肩甲骨を大きく動かすことで、肩や首のこりに効果があります。
肩回しのポーズのポイント
- 腰を反ったり、丸めないように注意する。
- ひじで大きく円を描くように回す。
- 姿勢がうまく取れない方は、正座や椅子の上でやるのもおすすめ。
マツヤ・アーサナ、魚のポーズ

魚のポーズの目安:3呼吸
首や背中のこりが気になる方は、魚のポーズがおすすめです。喉の通りが良くなるので、睡眠の質の改善も期待できます。
左の姿勢のほうが楽に行えますが、余裕があるようなら、右の姿勢にもチャレンジしてみましょう。
ただしリラックスヨガは、きついと感じる姿勢を維持するのではなく、呼吸が乱れない範囲で取り組むことが大切です。
魚のポーズのポイント
- 床に対し、骨盤と肘、頭の3点で身体を支えるイメージ。
- 胸をしっかり持ち上げる。
- 肩甲骨を寄せるイメージ。
3-3. 姿勢改善に効果的!仰向けのヨガポーズ
姿勢の改善には、体を反る姿勢のヨガポーズが効果的です。反る姿勢は慣れていない方にはきつい場合も多いので、無理のない範囲で取り組むようにしましょう。
シャラバ・アーサナ、バッタのポーズ

バッタのポーズの目安:3呼吸
うつ伏せの状態で体を反らすバッタのポーズは、姿勢の改善が見込めます。猫背や体が固い人はぜひ取り組みたいポーズのひとつです。
たくさんのバリエーションありますが、リラックスヨガの場合はシンプルに手足を後ろに伸ばしたもので十分です。
バッタのポーズのポイント
- 骨盤で床を押し、胸は前に出すイメージ。
- 肩甲骨を寄せるようにすると、より効果的。
- 首は持ち上げすぎず、背骨の延長上に置く。
セトゥバンダ・サルワーンガ・アーサナ、橋のポーズ

橋のポーズの目安:3呼吸ずつ
仰向けになり体を反らせる橋のポーズは、お尻や骨盤周りの筋肉に働きかけるポーズです。骨盤集辺がほぐれるので、血流や腸の働きの改善にも効果が期待できます。
腰が痛い方は、骨盤の下にクッションを置いて姿勢を取るようにしましょう。
橋のポーズのポイント
- 肩と後頭部で、床を押す。
- かかとと膝を垂直に保つ。
- 膝から肩まで、まっすぐのラインを意識する。
3-4. 睡眠の質を良くするヨガポーズ
脳や神経系をリラックスさせ、睡眠の質改善に繋がるヨガポーズをご紹介します。前屈系の動きは、ヨガの先生である前川さんもあっという間に眠くなるそうで、睡眠を誘う効果が高いですよ。
ウパビシュタ・コーナ・アーサナ、開脚前屈のポーズ

開脚前屈のポーズの目安:5〜10呼吸
開脚前屈のポーズは、脳がリラックスし安眠効果が高いヨガポーズ。
股関節が開かない人も多いので、クッションやひざ掛けなどをお尻の下に敷いて、腰の位置を高くして取り組むのがおすすめ。
それでも体を前に倒せない場合は、少し膝を持ち上げた状態で取り組んでみましょう。
開脚前屈のポーズのポイント
- 足を開きすぎない、最大でも90度まで。
- 腰はまっすぐ、骨盤から前に倒す。(猫背にならないこと)
- 自然な呼吸ができる範囲で止める。
股関節が柔らかい方は、前に大きく体を倒しても大丈夫です。無理のない範囲で姿勢を取るようにしてください。
ナディーショーダン、片鼻呼吸

片鼻呼吸の目安:10往復
片鼻呼吸はヨガの呼吸法のひとつで、片鼻ずつ呼吸することで自律神経が整い、安眠効果が期待できます。
右手で鼻を押さえるのが、基本姿勢です。
伝統的なヨガの形に合わせ、右手は写真のうちやりやすい方を選び、左手はチン・ムドラー※と呼ばれる人差し指と親指で丸を作る形で取り組みましょう。
(※)チン・ムドラー…左手の親指と人差指で輪を作り、残りの3本はゆるめておく。
片鼻呼吸のポイント
- 呼吸に意識をおく。
- 「5秒吸う⇢2秒止める⇢5秒吐く」を10セット取り組む。
- 腰をしっかり立てる。
3-5. 集中力を高めるヨガポーズ
集中力が続かない原因は、自律神経系に問題があるからかもしれません。リラックスヨガで無理なく全身運動に取り組み、自然と集中力が高まってくるポーズをご紹介します。
アンジャネーヤ・アーサナ、三日月のポーズ

三日月のポーズの目安:3呼吸
全身を大きく使う動きが特徴の、三日月のポーズ。全身の引き締め効果や姿勢の歪みの解消にも繋がります。
両足が地面についてはいますが、バランスをとるのが大変なため、集中力が鍛えられるヨガポーズです。
膝に痛みを感じる場合は、膝下にひざ掛けやクッションなどを置きましょう。
三日月のポーズのポイント
- 腰をしっかり立てるのがポイント。
- 呼吸は止めず、ゆっくり呼吸できる程度の姿勢にする。
- 手を伸ばすのが難しい場合は、膝の上に置いてもOK。
より強度を出したいときには、写真のように手を上に上げて胸から後ろに反るように広げてください。
ガルーダ・アーサナ、鷲のポーズ

鷲のポーズの目安:3呼吸
足をクロスさせて軸足ともう片方の足先で体を支える、鷲のポーズ。
こちらもバランスを取るのが難しく、自然と呼吸や姿勢に意識が向かうので、集中力を高める効果が期待できます。足を入れ替えながら、両パターン取り組みましょう。
鷲のポーズのポイント
- 腰は丸めない、反りすぎない。
- 余裕があれば、膝を曲げて姿勢を落とす。
- 呼吸は止めず、ゆっくり深呼吸する。
- 軸足の膝を、つま先より前に出さない。
腰を落とし、体を前に倒すほど強度が高い姿勢となります。
腕の形について
- 簡単な形:腕は合掌で肘同士を近づける
- 難しい形:両腕を絡め合う
4. まとめ
リラックスヨガは、体と心をリラックスさせる効果の高いリラクゼーションのひとつです。
加えて、肩こりや姿勢改善、睡眠の質向上に繋がる効果も期待できます。
ヨガは「体が硬いくて姿勢がとれない」という方が多いですが、リラックスヨガなら簡単なポーズが多く身体に負担がかからないため、初心者にも入りやすいのが特徴です。
本記事を参考にしながら、ぜひリラックスヨガを、日頃のストレス解消に役立ててくださいね。