40代女性の転機:専業主婦が女性起業家になったきっかけ

スポンサーリンク
柴田弘美 Dラボライフスタイル
※この記事は約 5 分で読めます。

女性の40代は人生のターニングポイント。家庭においても、仕事においても、(このままで良いのな?)と立ち止まって考える人が多いようです。

人生の転機を、理屈より行動で拓いた先輩の言葉は、励みにも気づきにもなります。
今回は17年間の専業主婦を経て、40代で起業家となった一般社団法人「ダイバーシティ・デザイン・ラボ(Dラボ)」代表の柴田弘美さんにお話を伺いました。

柴田弘美
(しばたひろみ)
一般社団法人ダイバーシティ・デザイン・ラボ代表理事。
結婚を機に、地元メディアを退社。子育てに専念するため専業主婦として17年家庭に専念。
2003年、ネットショップで起業。同年SOHOビジネスコンテストで優秀賞。
2008年、起業サポートサロンオフィスを開設。
2009年から、静岡県受託の女性起業講座を主催している。
金融機関や行政と連携し、講師兼コーディネーターとして活動。
2016年3月、法政大学院 政策学修士取得。
2018年4月、サードプレイスDラボを開設。

コーディネート・取材:山下ゆうや

スポンサーリンク

1. 女性起業家のライフスタイル

まず、柴田さんの現在のお仕事を教えてください。代表を務められている「ダイバーシティ・デザイン・ラボ」(以下、Dラボ)ではどのようなことを行っていますか?

柴田弘美さん(以下、柴田):女性企業支援からスタートし、現在は女性の“潜在能力の開花”をテーマに活動しています。活動のベースとして、2018年に“自分らしくいられる第3の場所”『サードプレイスDラボ』を設立しました。

ここでは、コワーキングスペース(利用者同士が交流を図れる共働スペース)やシェアオフィス(共同で使う仕事場)を提供するほか、講座・セミナー・コンサルティングなどが受けられ、人脈形成にもつながるコミュニティとしての機能も持ちます。

私個人としては、Dラボの運営のほか、外部セミナー講師、地元・静岡県とコラボした女性の起業支援や中小企業のための広報代行などを行っています。

サードプレイスDラボ

1-1. 働き方で気を付けていること

お話を伺うだけでも多忙な毎日と思いますが、働き方で気をつけていることはありますか?

柴田:働き方で意識していることは、主に2つあります。

1つはDラボのテーマでもある、「これからの働き方をデザインする」という意識を持ち、仕事をすること。

もう1つは、仕事と家事を両立しながら働くこと。私は車で通勤していて、職場(Dラボ)のある藤枝市まで、自宅から40分から1時間かかります。それでも家事と仕事のバランスは、ずっと守っていますね。

そうなると、仕事のスケジュール管理が大変そうです。お仕事のあるときはどのように過ごすことが多いですか?

柴田:もちろん曜日によって違うのですが、セミナーや起業支援などを通じて知り合った、中小企業の社長さんや役所の方と打ち合わせなどで職場にいないことも多いです。

職場にいる時はパソコン作業をすること、主にメールのやり取りが多いですね。

常に先の展開を考えて行動することが必要なので、時間管理や効率性は働きながら身に着いてきたものだと思います。

1-2. 休日は「孫の世話と海外ドラマ」

フルで働いたら、週末はだいぶお疲れではないですか? どんな休日を過ごされるのか気になります。

柴田:自分の仕事に関して、週末は基本的に休みにしています。私は、近くに住む孫と遊んでいることが多いですね。

え!お孫さんがいらっしゃるんですか?!週末も活動的ですね!

柴田:動いてばかりではないですよ。ストレス解消に、一日中海外ドラマを観ることも多いですね。海外の連続ドラマはすごく長いんです。最近は「ロスト」を見ているんですが、シーズン6まであるので、全然見終わらない。とにかくずーっと観てます(笑)

2. 40代の転機・起業にチャレンジした「きっかけ」とは?

では、気になる「専業主婦から起業したきっかけ」をお伺いしたいのですが?

柴田:きっかけは、「レオタード」です(笑)

はい?(笑)順を追って教えてください。

2-1. 地元メディア退社後、専業主婦を17年続ける

柴田:新卒で、地元テレビ局の経理として配属されました。経理といえば社長付きの部署のような時代でしたので、社長の近くで働く環境でした。退職したのは、結婚したタイミングです。

当時は、女性が長く会社勤めするような時代ではなく、周囲では結婚退社が当たり前の考え方でした。ただ、私の部署は独身の女性が上司にいましたし、環境が良かったので働き続けることもできたと思います。

それでも主婦業に専念することを選んだのは、結婚や子育てが人として自然なことだと感じたからです。

当時の私は、結婚に何の意義があるのか疑問でした。そこそこの収入もあり1人でも楽しく生きているのに、という思いもありました。

そして、「何故人は、結婚するのか?」と自問自答したとき、自分は人間である前に生き物であると気づきました。

「多くの生き物が子供を産み、人生の幕を閉じる。それなら、私も結婚し子供を産むことが自然だ」と考えたのです。

それから17年間は主婦業と子育てに専念していました。楽しかったですよ。

2-2. 「高額なレオタード」をきっかけにオンラインストア開設!

新体操 レオタード

その中で、レオタードが登場するわけですね?

柴田:次女が新体操を習っていたんですが、当時、レオタードは新体操の先生から購入するのが慣例。しかも、毎年4、50万もかかることに疑問を感じました

レオタードは、先生がメーカーの人と決めているんですね。何で選べないの? そのプロセスおかしくない? そう思ったのが2003年でした。

当時は国内で販売店が見つからず、流行りだしたばかりのインターネットを使ってアメリカのYahoo!で検索してみたら、たくさんのレオタードが出てきました。試しに購入してみると、安いし、可愛いし、すごく良かったんです。

これって私が欲しいって思っていたわけだから、他のお母さんも欲しいはずだよね?ということで、当時まだ普及していなかったECストアを自分で立ち上げ、海外から輸入したレオタードの販売を始めました。

スゴイ行動力です!生活の中での何気ない疑問が、転機のきっかけになることもあるんですね。

2-3. ストアからDラボへの展開

では、レオタード専門店の運営から現在のお仕事に至ったのはなぜなのでしょうか。

柴田:レオタード専門ネットショップ「オリーブ」では販売だけでなく、レオタードを飾るスパンコールの付け方を教えていました。また、ネット事業の売却後は、マルシェの企画・運営を行っていました。

その中で、ママ友たちの悩み相談から始まり、次第に女性の起業相談も受けるようになりました。そのため、女性起業家相手に同じような活動を始めたんです。

2008年、オリーブカレッジというコワーキングスペースのようなものを立ち上げました。それが、現在のDラボに繋がっています。

私の場合、最初から起業家を目指していたわけではなく、自分が行動し、周囲のニーズに応えていくうちに今の働き方になったと言えると思います。

Dラボでのセミナー

3. 女性40代の転機で一歩踏み出すためのポイント

女性の40代は更年期など身体も変わり目にあたり、何かしたいと焦る気持ちや、もう無理かもと諦める気持ちも多いと思います。そのような女性向けに、柴田さんからのアドバイスはありますか?

柴田:何かに挑戦するのに、遅すぎるということはないと思います。私も専業主婦の頃から自分らしい生き方をずっと探していました。

私の体験から言うと、家庭や子育てに精通しているからこそ見える、社会の課題や解決法もあるので、むしろ「専業主婦の女性ほど、起業のチャンスが多い」と考えています。

柴田さんが考える、「転機の女性が一歩前進するためのポイント」を教えてください。

3-1. 「悩み」ではなく「強み」を探す

40代や50代というと、子育てや仕事の悩みに加えて体調面でも悩みを抱えやすい年齢です。あまり悲観的にならず、自分ができることや好きなことに目を向けてみてはいかがでしょうか。

私も、自分が欲しいものを人にも届けたくてレオタード専門ネットショップを作り、それをきっかけに人との関わりが増えることで次の展開になっていきました。

若い頃は目標を決めて、苦労しながら突き進むことが大切ですが、40代や50代は、今までの人生経験で養った視点や得意分野などを活かしていく方が続けられるでしょう。

3-2. 主婦なら家族の理解を得る

主婦の場合は、家族の理解は欠かせません。ご主人やお子さんがいる方は、家庭との両立を前提にしたキャリアプランを考える必要があります。

家業と仕事の両立は常に働く主婦の課題ですが、新しい挑戦をするなら家族に応援してもらえるぐらいの説得ができなければ、仕事として結果を出していくのは難しいかもしれません。

3-3. 仕事にするなら収入が確保できるもの

起業するためには、会社の登記や仕事に必要なものを揃えるために、さまざまなお金が必要になります。まずは情報を集め、どのぐらいの金額が必要で、収入が仕事として成り立つかどうかも確認してください。

金銭的なことは、家族の理解を得るためにも重要なことです。自分の貯金の範囲で新しいことを取り組むのか、家族の支援が必要なのかによっても話が変わってきます。

すぐに収入をイメージできないようなら、起業以外の方法を検討してみるのもひとつの手段です。やりたいことは起業以外でもできるかもしれません。

新しいチャレンジといっても、最初は会社員やパートとして働く場合もあるでしょう。“何かを始める”方法は、人それぞれで良いと思います。

自分の目標や夢を深堀りし、実現するためにはどんな手段があるのかについて、広い視野で考えることが大切です。

4. まとめ

前向きで生き生きとした柴田さんのお話は、まっすぐにご自身で行動されている方の話だからこそ響くのでしょう。

柴田さんのチャレンジのきっかけは特別なことでなく、「新体操のレオタードを自分で買えるお店がない」という生活の中の疑問だったことは意外でしたが、生活の中にたくさんのチャンスが眠っているということに気付けました。

特に主婦は、消費者目線と子供目線の2つの視点を持てることから、今までになかったビジネスが生まれる「きっかけ」が多いそうです。

「仕事と家庭のバランスをしっかり取る」ことで家庭を守りつつ、「仕事は収入が確保できるものを考える」ことで、自分らしく働くための環境を作れるのですね。

柴田さんの言葉やアドバイスが、転機や起業を考えている方に、少しでも参考になったら嬉しいです。