窓から差し込む光の種類が変わりましたね。 ここダラスは、10月/11月が一年中で最も爽やかな季節なので、心踊ります。日本のような紅葉は見られませんが、なるべく外で過ごしたい!といつも思います。
■製作年:2004年
■サイズ:173cm x 52cm x 52cm
■素材:foam sheet
■所蔵:Crow Museum of Asian Art, Dallas, TX
■画像クレジット:ⒸKANA HARADA, Photo by Makoto Takemura ※無断転載禁止
今週から、打って変わっていくつか黒の作品をご紹介させて頂きます。
フォームシートという素材に出会ってから、初めは黒い色のものだけを使って、鳥かごをインスピレーションとした「鳥かごシリーズ」を作っていました。
私にとって「黒」という色には深い意味はなく、空間にインクで線を描くような気持ちでした。
フォームシートのような柔らかな素材で、自分が表現したい種類の静寂、落ち着いた静かな心の平安や、深い深い深呼吸などを、視覚的に響いてくる音やリズムに乱れのない、全くの左右対称に実現/表現するのはなかなか困難でした。
使っていた接着剤も、乾くと黒いフォームシートには白く残るので、振り返ってみると、制作中あまり息をしていなかったのではないかと思います。
こうした作品をいくつもいくつも作り続けた後、 今回ご紹介のこの作品は、まさに「エ〜〜〜〜〜イッッッ!」と自由に何も気にせず炸裂した作品です。ある種の「自画像」でもあります。
何も気にせず炸裂!とはいえ、自分が欲しい形を実現するためには、それまでの左右対称の作品同様、簡単ではありませんでした。でもとにかく自由に!トコトン自由に!と、気持ちだけでもそれまでとはまた違う楽しさで、自分をある種解放できた作品でもありました。
先程、ある種の「自画像」と書きましたが、そんな意味もあり、この作品の内側につけたのは、いつものようなブランコではなく、鏡のような額縁の形をしたとまり木です。
縁を飾っている花や葉が、こちら側と向こう側でまったくの対象にしてあり、のぞいて見るとちょっと鏡のように見えるので、楽しんで頂けると思います。
こんなところに、鮮やかな黄色い小鳥がとまったらかわいいなー♪と思いながら作りました。
この作品は、私がこの町に移住してから、初めての個展で発表したものです。会場となったのは、当時一番おもしろく、たくさんの才能で賑やかだった非営利団体のアートスペースでした。
ここが”MIX!”という個展ができる外国国籍のアーティストを公募していたのです。
応募してみたところ、まだ土地勘もなく、アーティストとしての履歴らしい履歴もなく、この業界のいろはのいの字も知らなかったフリーエージェントの私の作品を見て「おもしろい!」と即連絡をくれたのは、ここの女性ディレクター/館長でした。
この個展こそ、その後私にアメリカのアート界のいろはを教えてくれる貴重な友人達や、たくさんの素晴らしい縁に恵まれるきっかけでした。
それまでは、ただただ作ることだけ、描くことだけだった私にとって、まさに夢のような展開でした。ディレクター/館長は、会うたびに「原田佳奈は私が発掘した♪」と嬉しそうに言ってくれます。
ある意味で、この個展から改めて*すべて*が始まった、とも言えると思っています。
皆様にとって、気持ちだけでも”FREEEEE!!”と自由にのびのびとした美しい秋の週末でありますように!
xoxo