仕事場に缶詰でも、ひたすら爽やかな秋を満喫している今日この頃です。皆様はどんな10月をお過ごしでしょうか。
■製作年:2008年
■サイズ:168cm x 81cm x 76cm
■素材:foam sheet and mixed media
■所蔵:個人
■画像クレジット:ⒸKANA HARADA, Photo by Makoto Takemura ※無断転載禁止
今回ご紹介させて頂きます作品は、木の魅力にどうにもしようがないほどシビれ始めていた頃のものです。
そんなシビれと、常々心にあったもうひとつのシビれ:素晴らしい仏像に出会った時の感動が、私の中でひとつになって作品となったもののひとつです。
原田佳奈バージョンの風神は、人類の心から涙や痛み、怒りや不安、そんなすべての闇を吹き消し浄め、新しい明日へ、雲ひとつない真っ青な大空を開いてくれる、神の姿です。
全体にたなびいている、風と木々の力を表現したひとつひとつの形は、鋏でいくつもいくつも「これでなくてはならない」と感じるもののみを追い求め、最終的に残ったものです。
この作品にもやっぱりついている”ブランコ”は、実はきっと、風神の腕の中に常に抱かれている我々人類ひとりひとりの居場所です。
限りなく優しいそよ風の時も、厳しい台風や竜巻でも、風神はいつも私達をその懐に、きっとそっと抱きかかえ、どんな時も大難を小難になんとか変えようとしてくれているような気がします。
この作品は、2009年になんと我が家の向かい側にできた、”アートラボ”というスペースでのグループ展でデビューしたものです。このスペースは、ここダラスの主な画廊が共同で展覧会を催すなんとも面白いスペースでした。
今は高級ブランドの大きなブティックの店舗になっていますが、天井も高く、中二階もあり、ワクワクするスペースでした。その出入り口のすぐ横に、ちょうど我が「風神」がゆとりを持って収まるショーケーススペースがあり、会期中ずっと、まるで門番のようでした。
数年後この「風神」がお嫁入りしたのは、すぐご近所の美術館地区にある、彫刻美術館の隣にそびえ立つスーパーモダンな38階建てマンションの26階にある個人のお宅でした。
ロビーから直結したプライベートエレベーターで上がる、テイストの高いお宅の内装は、まさに「宇宙船」(驚)!
ワンフロアーがワンブロック分の大きなスペースの、北側にあるベランダの内側、眺めの良いバーの天井から「風神」はいつも大空を眺めています。
この作品にとって、これまたピッタリな場所だなー、とご縁をなんとも興味深く思いました。 嫁ぎ先のお宅を拝見できる機会はなかなか普段はないので、貴重な体験でした。
とにもかくにも、世界中の我々皆が心底安心して、それぞれの人生の大空を切り開いてゆける日が、一日も早く来ますように。皆でそんな奇跡を、いつか必ず起こせますように。
風神共々、今日もそんなことを思い、願っています。
うれしい追い風が吹いてくる、素敵な週末をお過ごし下さい!
xoxo