これはダメ!食品・食材保存のNGを知って、ムダなく美味しく安全に。

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「ああ、またダメにしちゃった……」。

台所を預かる人なら、もう食べられない食品・食材を罪悪感とともにゴミ箱へ捨てた経験が一度はあるはず。

・お買い得な時に買いだめしたはいいけど、適当に保存してダメにしちゃった。
・冷蔵庫や食品庫に魔窟ゾーンがある。
・冷凍すると、おいしくなくなる。
・そもそも、それぞれの食品に適した保存法がよくわからない。

など、当てはまる方は多いのではないでしょうか。

あらゆる食品・食材に共通する保存の決まりは、食品が傷む原因を取り除くことです。

食品が傷む原因として、よく言われているのは、「温度」「湿度(水分)」「酸素(酸化)」「微生物(腐敗)」。

それに加えて、「光」「酵素」「エチレンガス」に注意しないといけない食品もあります。

その解決法には、「常温」「冷蔵」「冷凍」「干す」「漬ける」があり、さらにそれぞれにちょっとしたコツがあります。

私が日常的に活用している『もっとおいしく、ながーく安心 食品の保存テク』徳江千代子(朝日新聞出版)から5食品をピックアップし、NGな保存法と解決方法を紹介します。

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1.肉や魚:パックのままチルド室や冷凍室に入れるのはNG

肉パック

肉や魚は、発泡スチロールのトレーとラップフィルムに包まれて売られていることがほとんどでしょう。最近は、ごみ削減をうたったポリ袋入りのものも見かけますね。買って帰ったら、そのままの姿でチルド室や冷凍庫に直行させていませんか?

「未開封だから大丈夫でしょ」という油断は禁物です。販売時の包装は店頭での扱いやすさのためのもので、保存はまた別の話と心得ましょう。

肉や魚の保存方法にはバリエーションが主に3つあります。以下、ひとつずつご紹介していきます。

良い保存方法1:空気を遮断して密閉保存

まず基本は、肉や魚は1切れずつペーパータオルで包み、さらに家庭用ラップフィルムでぴっちりと包み、ポリ袋に入れて空気を抜いてチルド室で保存する方法です。

ペーパータオルはドリップを吸い、家庭用ラップフィルムとポリ袋は酸化と乾燥を防いでくれます。ペーパータオルで包む前に、表面の水分は拭き取っておくのも忘れずに。この方法なら、お肉ならば4日後もおいしくいただけます。

一尾まるごとの魚の場合は、傷みやすい内臓は取って腹の中までよく水洗いして、水気をしっかり拭き取ってから上記の手当てをしてください。

良い保存方法2:下味をつけてから保存

調理中の肉

あらかじめ下味をつけて保存する方法なら、冷蔵だけでなく冷凍にも使えます。

から揚げや味噌漬け焼き、ハーブグリルなど用途が決まっているならその味つけで、決まっていないなら塩と酒や、醤油と酒と砂糖という風に、いくつかの料理に展開できる下味でも構いません。

この方法には、調味料の塩分やアルコール分が雑菌の繁殖を抑え、味がよく染みこむメリットがあります。

冷凍の場合は臭い移りも防げ、3週間ほど保存することも可能です。さらに、下味がついているので調理も楽に。毎日のお弁当にも使えるテクニックです。

なお、冷凍した場合は、前日に冷蔵室に移して自然解凍がベストです。急ぎの時は、包んでいる姿のまま流水解凍してください。

良い保存方法3:氷の膜をまとわせて冷凍

下味をつけたくない場合は、水の力を借りましょう。

水にくぐらせてからラップフィルムでぴっちり包み、冷凍用保存袋に入れて空気を抜いて急速冷凍します。水は氷水だとなお良いです。薄切り肉は少々手間ですが、一枚ずつ水にくぐらせて包んでください。表面にグレーズと呼ばれる氷の膜ができることで、冷凍中の酸化と乾燥を防いでくれます。

急速冷凍の機能がない冷凍庫ならば、金属製のバットやトレーにのせて冷凍庫に入れてください。金属は熱伝導率が高いので早く冷気が回ります。また、凍るまでに時間がかかる原因になってしまう空気は、しっかり抜いておきましょう。

なお、ひき肉は傷みやすいので、生のまま冷凍はおすすめできません。保存したい場合は調理してから、もしくは下味をつけてからにしましょう。

の場合は、マグロやイカなどの身がしっかりしているものは、そのまま冷凍に向きますが、タラなどの身が柔らかい魚は、必ず下味をつけてから冷凍するようにしてください。一尾まるごとの魚は、三枚おろしなど使いやすいように切り分けてから冷凍しましょう。

2.ハンバーグや焼き魚:加熱してからの冷凍はNG

ハンバーグや切り身の焼き魚などの焼きもの料理。夕食づくりの時に多めに作って、冷凍しておきたいですね。

その時に、火を通してから冷凍すべきなのか、それとも火を通す前の状態で冷凍すべきなのか、気になったことはありませんか?

実は、加熱してからの冷凍はNGです。

良い保存方法:火を通す前に冷凍

NGの理由は、加熱すると水分が抜けてしまうからです。

先ほど、氷の膜で保護する方法をご紹介したように、冷凍する時に水分は大事な役目を果たします。加熱して水分が抜けた状態で冷凍してしまうと、さらに乾燥が進んでパサパサになってしまうのです。

塩鮭

ハンバーグや肉団子は肉だねにして成型したところまで、焼き魚は塩で下味をつけたところで、ひとつずつラップフィルムでぴっちり包んで、冷凍用保存袋に入れて空気を抜いて冷凍しましょう。
使う時は、自然解凍して加熱します。

3.乾物:物によって開封後の常温保存はNG

一度に使い切れない乾物は、保存に悩みがちなアイテムです。クリップや輪ゴムで口をしばって、カゴなどに入れて常温保存している人も多いでしょう。

しかし、開封後は冷蔵や冷凍保存したほうがいいものもあるのをご存じですか?

良い保存方法:冷蔵・冷凍保存がオススメな乾物を知ろう

切り干し大根

たとえば切り干し大根や春雨は、開封後は密閉して冷蔵保存が適しています。意外なのはゴマで、こちらも密閉して冷蔵保存がベターです。

さらに、水分や油分がある干しエビ酸化しやすいかつお節は、冷凍保存がおすすめです。

いずれも、湿度の変化と臭い移りを防ぐためにきっちり密閉して、袋の場合は空気を抜いて保存するのをお忘れなく。容器に移す場合は、消費期限・賞味期限を袋から切り取って同封しておくと安心です。

4.食パン:保存するなら冷蔵庫はNG

食パン

最近は生食パンが注目され、高級路線で人気が出ている食パン。開封後の残りはどう保存していますか?

専門店の食パンは少々高価なので、できるだけ長く美味しく楽しみたいですね。冬場は常温保存でも、夏場はカビが怖くて冷蔵庫に入れたくなります。

しかし、パンと冷蔵庫、実は相性がよくありません。パンの乾燥が進んで、美味しくなくなってしまうのです。

良い保存方法:保存するなら必ず《冷凍》

保存する食パンは購入した日のうちにスライスして1枚ずつラップフィルムでぴっちり包み、冷凍保存袋に入れて空気を抜いて保存しましょう。1ヵ月ほど持ちます。

冷凍した食パンは凍ったままトーストするか、そのまま食べる場合は自然解凍が美味しくいただけます。

ちなみにフランスパン、カンパーニュといった油分が入らないパンは、食パンより老化(=硬くなる)が早いです。当日食べきれなかった分はカットして、一切れずつ上記の方法で冷凍してしまいましょう。

フランスパンやカンパーニュを解凍する時は、霧吹きで水分を与えてから焼く、もしくは凍ったまま蒸してもふっくらしておいしくいただけます。

5.卵:実はドアポケットの専用ケースがNG

卵

卵は冷蔵庫に保存しますが、ドアポケットに卵ケースがセットされている冷蔵庫をお持ちの方は注意が必要です。ドアポケットでの卵の保存、実はNGなんです。

ドアポケットは、開閉時に振動や温度差が生じるので、鮮度が重要な卵の保存には適していません。さらに、卵の表面にはサルモネラ菌が付着しているかもしれないリスクがあるので、パックから移さないほうが無難なのです。

良い保存方法:パックのまま冷蔵室の棚へ

冷蔵庫にしまう時は、パックのまま棚に置くようにしましょう。これは、他の食品と触れて菌が付着するのを防ぐ効果もあります。

また、ゆで卵にすると保存が利くイメージがありますが、加熱で細菌を分解する酵素の働きが消滅してしまうので、かえって長持ちしなくなります。加熱しているからと安心せず、早めに食べきりましょう。

6.まとめ

今回は、「肉や魚」「調理済み食品」「乾物」「食パン」「卵」に関して、より良い保存方法をご紹介しました。食品・食材によってコツは違ってきますが、なんとなく保存のポイントが見えてきませんか?

私はこれらの保存方法を知ったことで、食品ロスが減り、調理が前よりうまく回るようになりました。買ってきた食品・食材の手当てをしている時は、正直「面倒だなぁ」と思う時もありますが、やはりきちんと手当てしたものは“持ち”が全然違う上に、味も良いのです。

一度その違いを体験すると、面倒でもやろうという風に自然と変わってくるのは面白いところです。

※出典:『もっとおいしく、ながーく安心 食品の保存テク』徳江千代子(朝日新聞出版)

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この記事を書いた人
くりもときょうこ

総合出版社で14年間編集経験あり。青年誌、女性誌、男性週刊誌、児童書と脈絡のないキャリアのおかげで、インタビュー、企業取材、ライフスタイル、旅、食、カルチャー、医療等幅広い雑食系編集・ライターに。長野県の村在住。

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