食べられるのに捨てられる食品を指す「食品ロス」「フードロス」という言葉。
以前から話題になっていますが、昨年10月1日から「食品ロスの削減の推進に関する法律」が施行。国を挙げて対策に本腰を入れるようになり、ニュースなどでも取り上げられる機会が増えています。
日本は、実は食品ロスでは世界トップレベルという、不名誉な状況にあります。
前回、個人でできる食品ロス対策をまとめました。
>>>世界有数の“食品ロス”大国・ニッポン!今日からできる家庭の取り組み
とはいえ、ひとりで実行するとなるとタイミングがつかめない、という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
楽しみながら社会貢献できる、プロジェクトのようなものがないか……と思って調べてみたら、あの手この手で食品ロス削減の取り組みをしている複数の企業や団体を見つけました。
社会参加・社会貢献の満足感も得つつ、おトクに楽しめる取り組みを紹介していきます。
1. 身近なコンビニエンスストアの取り組み
1-1. 食品ロスを救ってポイントゲット
セブンイレブンでは、この春から「エシカルプロジェクト」と銘打って、消費期限が近い商品にnanacoポイントを5%付与するという取り組みを全国に広げているところです。(2020年2月末現在は九州のみ実施)
コンビニエンスストアの食品廃棄が社会問題化しているのを受けて、セブンイレブンは2009年からチルド弁当をはじめ、鮮度を長く保持できる総菜などを開発してきました。メーカーからの納品期限も緩和しています。
今年は「フードロス削減チャレンジ年」とし、恵方巻などの予約商品でもロス削減に取り組むなど、確実に変化しています。
1-2. 廃棄率が高いコンビニおでんに変化
この冬、一部コンビニの店頭からレジ横おでんが消えました。
おでんは店頭での寿命が短い商品の筆頭。食品ロスへの意識が高まる昨今、手間がかかるのと廃棄率が高いことで取り扱いをやめる店舗が出てきたのです。
そんな中、ファミリーマートの一部店舗が今年1月から導入したのが「レンジアップおでん」。
数種類のおでん種が入った袋を、電子レンジで温めて提供するというものです。
単品で選べないものの、レジ横おでんの賞味期限は6~16時間でしたが、袋タイプは180日と大幅に延長。食品ロスの削減には確実に貢献しそうです。
2.外食産業の取り組み
2-1.外食する時に残り物を持ち帰れる店
食品ロス削減に積極的に取り組んでいる飲食店も増えた結果、残り物を持ち帰ることができる、いわゆる「ドギーバッグ」を用意して店も多いです。残り物が気になったら、お店に尋ねてみましょう。
エコバッグのように畳んで持ち運べるものもありますから、自分で用意することもできます。
ただし、お刺身など生ものは持ち帰れないことが多いです。
いずれにしても、食中毒になっては元も子もないので、衛生的な状態で持ち帰って保存し、翌日には食べきります。
2-2.宴会は「食べきりタイム」で余らせない
参加者同士がついつい歓談に夢中になって、宴会は料理が残りがち。最後席を立つとき、大皿に少しずつ料理が残っているのはよく見る光景で、これが、食品ロスの元凶のひとつになっています。
この対策として、国や地方自治体が「3010(さんまるいちまる)運動」を展開中。
「3010(さんまるいちまる)運動」とは、乾杯から30分は席を立たずに料理をしっかり食べ、最後の10分は席に戻って余っている料理を食べきるというものです。
個人的に実践するのもよし、3010運動をやっているお店を選ぶもよし、宴会の幹事になった時はぜひ“幹事特権”で、参加者に広げてみてください。
3. おなじみの食品がネットでお得に買える
食品メーカーの余剰在庫や訳あり品を専門に取り扱うネットショップも出てきました。
・「Otameshi」は、まだ食べられる、まだ使えるのに処分対象となってしまった商品をメーカーから買い取り、会員に格安で販売するサービスです。
・「楽天市場」でも、「食品ロス」で検索すると、賞味期限が近いものや訳あり品が出てきます。
ちなみに、ロスになりそうな食品を積極的に扱うお店は実店舗でも広がっています。
「日本もったいない食品センター」が関西圏を中心に運営している「フードロス削減ショップecoeat(エコイート)」。廃棄予定の飲料や食品を無償や定額で買取、安全性を確認した上で販売可能な商品を安価で販売しています。大阪を中心に、東京、兵庫、高知に店舗があります。
東京や埼玉で展開している「スーパー みらべる」は専門店ではありませんが、賞味期限が間近の食品、パッケージの破損、印字不備といった品質に問題ない訳あり品を扱っています。
4. 食品ロスを出さない調理法を教わる
4-1. プロのシェフに習う未利用野菜クッキング
日々、美味しい料理で私たちを楽しませてくれているプロたちも、食品ロスには危機感を持っています。
今年1月14日にテレビ東京系で放送された「ガイアの夜明け」では、「“棄てない”闘い! ~食品ロス削減2020~」と題して、そんなシェフの取り組みが紹介されました。
食を通じて社会を良くしていきたいと、日本の一流シェフや料理研究家が2017年に結成した「一般社団法人CheFooDo(シェフード)」。
東京・築地のキッチンスタジオを拠点に「フードロス問題への取り組み」もすすめており、「未利用野菜」にフォーカスした料理教室を会費5000円前後で1~2ヵ月に一度くらいのペースで開催しています。
未利用野菜というのは、規格外や供給過剰などさまざまな理由で廃棄される野菜のことです。中には、箱ごと捨てられるケースも。シェフードでは、未利用野菜のことを知ってもらいながら、ムダにしない料理法を伝授しています。
「ガイアの夜明け」では、シェフードの会員でもある中国料理の名店「美虎(みゆ)」のオーナーシェフ・五十嵐美幸さんが登場して、白菜を芯まで使った料理を提案していました。参加者の女性たちは、デモンストレーションを熱心に見つめます。
五十嵐さんは、自らの店でも野菜を極力余さず使って上質な中国料理に仕立てる工夫を重ねています。「食材を最後まで生かし切る工夫は誰かがやらないといけないし、やればどんどん輪が広がる。必ず変わっていくので、やり続けるしかない」と強い信念を持ちながら、笑顔で活動している姿が印象的でした。
4-2. 自治体の講座なら格安に学べる
食品ロス削減をテーマにした料理教室は、各自治体が主催している場合もあります。地元の料理研究家や料理教室を主宰する方などが講師となって、食品ロスを減らす調理法などを教えてくれます。
自治体の講座なので、格安で参加できるのが嬉しいところ。ぜひ、お住まいの自治体でチェックしてみてください。講座がないようならば、自治体に要望を出してみるのも手です。
5.まとめ
「食品ロスを減らすと経済が縮む」という意見もあるようですが、食品ロスに関して京都市が2018年に行った実証実験では異なる結果が出ました。
市内のスーパーマーケット5店舗で賞味期限ギリギリまで店頭で販売したところ、食品ロスが10%減り、売り上げは5.7%増えたのです。あわせて行われた消費者の意識調査は、「(販売期限の延長は)良いことだと思う」が9割を超えていました。
食品ロス削減を意識している消費者は確実に増え、企業もそれを後押しするように積極的に取り組んでいるのが、今の流れといえそうです。
さまざまな企業が工夫を凝らしている食品ロス削減のプロジェクト。私たちも上手に参加して、楽しみながら社会貢献していきたいですね。
※参考URL
・ヤフーニュース「減らさない方が損! 食品ロスを減らすと経済が縮む?(中日新聞)」
・テレビ東京「ガイアの夜明け」