運動はしているのだけど、前より疲れやすい、なかなか痩せないと感じたことはありませんか?
運動量を増やしたり、激しくしているわけでもないのに、辛い筋肉痛に悩まされたり、翌日にも疲れが残っている…こうした状態では運動はおろか、普段の生活にも影響が出てしまいますよね。
実は、痩せない、疲れやすい理由は“栄養不足”の可能性があります。そこでスポーツ栄養学を学んだ健康運動士の阿部が、40代女性だからこそ知っておきたい上手な栄養補給による運動前後の疲れの軽減方法や、それをサポートするサプリメントの選び方をガイドします。
1. 運動で疲れやすい・痩せない理由
女性の40代と言えば仕事や家族との生活など、忙しくて慢性的に疲れが溜まりやすい状況に加え、年齢により代謝がますます落ちてくる頃です。
代謝が落ちてくると食事で摂った栄養成分をうまく体内で使うことができず、運動による疲労の回復も遅れてしまいます。
ずっと疲れが取れない場合はまず、必要な栄養成分をバランスよく、適正な量摂れるように食事を見直しましょう。食事だけで摂るのが難しい場合は、補助的にサプリメントの活用も考えます。
2. 運動での悩み別、栄養成分・サプリメントの選び方
運動前後の疲れや痛み、痩せないと言った悩みには、それぞれ理由があります。
悩み別に特に必要な栄養成分の特徴と摂るのに効果的なタイミングを押さえましょう。
2-1. 運動で体力低下を感じる、遅れて筋肉痛になる→【アミノ酸】
・アミノ酸ってどんな働きをするの?
アミノ酸の主な働きは筋肉を作ったり、免疫力を上げたりなどすることです。“体の60%は水分”とはよく知られていますが、水分に次いで多いのがアミノ酸で、20%を占めています。アミノ酸が不足すれば、運動前後の疲れだけでなく、体に様々な症状が出てきます。
健康な生活には20種類のアミノ酸をバランス良く摂ることが必要です。そのうち体内で作ることができない9種類は“必須アミノ酸”と呼ばれ、毎日の食事で摂らなければなりません。
・アミノ酸はいつ摂ると効果的?
三度の食事の中で、肉類や魚介類、卵、大豆製品、乳製品などをバランス良く摂るのが基本です。
運動でより疲れを感じる時や遅れて筋肉痛になる場合は、運動の30分前くらいに吸収の早いサプリメントなどから摂っておくと体への負担も少なくて済みます。マラソンなど運動が長時間に及ぶ場合は、運動の途中でも補給しましょう。
運動直後もアミノ酸補給ポイントで、疲れが残りにくい、筋肉痛を軽減するなどの効果が期待できます。
2-2. 運動疲れが抜けない、筋肉痛がひどい→【BCAA】
・BCAAってどんな働きをするの?
BCAAは、バリン、ロイシン、イソロイシンという主に筋肉を作る3つの必須アミノ酸から成っています。BCAAが不足すると運動で傷ついた筋肉の修復が遅れるため、疲れが残る、ひどい筋肉痛になるなどするのです。
・BCAAはいつ摂ると効果的?
BCAAを運動前に摂ると、運動中や運動後の疲れが軽減されるので、翌日からいつも通り元気に過ごすことができるでしょう。
マラソンなど長時間の運動や激しい運動の場合は、運動中に摂るのもオススメです。
運動前後に飲み忘れた場合は寝る前に摂ると、就寝中の体の回復に役立ちます。BCAAは炭水化物があると吸収されやすくなるので、食事ではご飯も適度に食べておきましょう。
BCAAが多く含まれる食材はまぐろやかつお、あじ、サンマなど魚類の他、牛肉や鶏肉、卵、大豆製品、チーズ類などにも多く含まれています。
これらの食品を食事の中で意識的に選びつつ、運動直前やカロリーが気になる就寝前はドリンクやサプリメントで摂ると体への負担も少ないのでうまく活用したいですね。
2-3. 運動しているのに痩せない、体がたるむ→【HMB】
・HMBってどんな働きをするの?
HMBは、必須アミノ酸のロイシンが変化してできる成分で、働きは筋肉を増やすことと筋肉が減らないようにすることです。
運動によって傷ついた筋肉は修復される過程で強くなり、体が引き締まるのですが、修復に必要なアミノ酸が足りないと筋肉内にあるアミノ酸を分解して使います。そのため運動をしても痩せないどころか、筋肉が落ちて体がたるむのです。
・HMBはいつ摂ると効果的?
HMBは筋肉への負担が大きくなる運動前と回復が進む就寝前に摂ると、筋肉の分解が抑えられ、体が引き締まりやすくなります。
HMBは一度に大量に摂ると排出される量が増えることがわかっており小分けで摂るのが望ましいので、運動前と就寝前に加えて、起床後に摂っても良いでしょう。
HMBも必須アミノ酸が多く含まれる魚類や卵、大豆製品、チーズ類に含まれていますが含有量がとても少ないです。
運動前後に必要な量を摂ろうと思うと卵で10個分以上になり、食事だけで摂るのは難しいので、サプリメントで補うのが現実的でしょう。
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2-4. 運動すると風邪を引く、体調を崩す→【グルタミン】
・グルタミンってどんな働きをするの?
グルタミンはアミノ酸の一種で、疲労回復や免疫力アップさせり働きを持っています。運動により失われやすい成分なので、運動前後に補給しておかないと風邪を引いたり、体調を崩しやすくなることもあります。
・グルタミンはいつ摂ると効果的?
運動の前後に摂ると、疲労感や体調不良を抑える助けになるでしょう。運動後、頻繁に風邪を引いていた編集長も、トレーニング後にグルタミンを飲むようになって風邪をひかなくなったそうです。
激しい運動をした、疲れが溜まっている時はさらに就寝前に摂ると、寝ている間に回復しやすくなります。
グルタミンもアミノ酸の一種なので、肉類や魚介類、卵、大豆製品などに含まれていますが、熱に弱いため生で食べられるメニューがオススメです。
体調や衛生面の問題、就寝前など生モノを食べるのが難しい場合は、サプリメントを有効活用したいですね。
2-5. 体脂肪が減らない、筋肉痛で辛い→【L-カルニチン】
・L-カルニチンってどんな働きをするの?
L-カルニチンは必須アミノ酸であるリジンとメチオニンからできている成分で、脂肪を燃やしてエネルギーに変える働きを持っています。L-カルニチンが足りないと、運動しても脂肪を燃やすことができません。
・L-カルニチンはいつ摂ると効果的?
L-カルニチンは赤身の肉や魚介類など動物性食品を日々の食事の中で摂ることで、脂肪が効率よく燃焼されやすい体になります。それによってスタミナが向上する、筋肉痛が軽減するといったことも期待できます。
食事だけで補うのが難しい場合、運動をよく行う場合は、運動の30〜45分前くらいにサプリメントで補っても良いでしょう。
2-6. 運動中に頭がボーッとする→【ブドウ糖】
・ブドウ糖ってどんな働きをするの?
ブドウ糖は脳のエネルギーとなる成分です。ウォーキングやマラソン、自転車など長時間の運動でもブドウ糖は使われるため、不足するとボーッとして疲れを感じます。
最近はブドウ糖の元となる“糖質抜きダイエット”が流行しており、過度な糖質抜きは危険なので注意が必要です。運動や仕事などハードワークが続く時は適度にブドウ糖(糖質)を摂った方が効率も上がります。
・ブドウ糖はいつ摂ると効果的?
運動前にご飯やうどん、バナナなど、消化しやすい炭水化物を摂っておくと、運動中も集中力や思考力が保たれて運動を楽しむことができるでしょう。
ウォーキングやヨガなど軽い運動なら直前でも構いませんが、マラソンや水泳など激しい運動の時は、消化の時間も考えて食事を運動開始2時間前くらいまでに済ませておきます。
どうしても時間がない時や運動中にも補給したい時は、ゼリーやサプリメントで摂るとお腹への負担も少ないです。
2-7. 運動中に足がつる、疲れやすい→【マグネシウム】
・マグネシウムってどんな働きをするの?
マグネシウムの主な働きは、筋肉の動きをスムーズにすることです。
マグネシウムを含め、ミネラル成分は運動で汗とともに流れ出してしまうため、夏場や長時間の運動等で大量の汗をかくと体内のマグネシウムが足りなくなり、足がつる、疲れやすいといった症状が出ることがあります。
・マグネシウムはいつ摂ると効果的?
キビキビと動いて運動を最後まで楽しむためにも、マグネシウムは三度の食事の中で摂れるよう意識したいですね。魚介類や海藻類、豆類など和食の食材には特にマグネシウムがたくさん含まれています。
カルシウムやクエン酸と一緒に摂るとマグネシウムの働きがより良くなるので、小魚や梅干し等もうまくメニューに取り入れると良いでしょう。
足りない場合や汗を大量にかきそうな場合は、サプリメントで補う手もあります。
マグネシウムは単体で摂ると消化に影響を与えてしまうため、起床後や午後3時頃、就寝前など食事の合間に摂りましょう。飲み忘れた時は、食後2~3時間は空けるようにしてください。
まとめ
サプリメントは医薬品ではないものの、人によっては違和感やアレルギー症状などが現れることもありますので、気になる方は医師や薬剤師指導のもと摂るようにしてください。
運動にまつわる悩みを紹介しましたが、あくまでも一例であり、人によって感じ方が違ったり、いくつかの原因が関わっていることもあります。
まずは食事、睡眠(休養)、運動といった生活の基本を整えつつ、サプリメントで上手に補って元気に毎日を過ごしたいですね。