アクセサリー作家・白洲千代子の世界

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カルチャー
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昭和を代表する文化人の祖父母から、自由な気風を受け継いだ白洲千代子。彼女のアクセサリーは、どれもが独特の世界観を持っています。

特徴的なのは、幅広い素材。色や形や組み合わせがカラフルで可愛らしいもの、シンプルで上品なもの、貴石の重厚さを感じられるものなど多岐にわたります。

全国で個展を開催し、熱心なファンも多い白洲千代子の世界を紹介します。

白州千代子 Chiyoko Shirasu

白洲千代子(しらすちよこ)

1968年東京生まれ。ヒコみずのジュエリーカレッジ卒業。日本ジュエリー協会のアートコンペティション入選。朝山早苗氏に師事。高岡クラフトコンペ入選。全国12都市で個展開催。

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@ここで見られる@白洲千代子 展示会のご案内

※2021年3月更新

★東京・代々木上原
白洲千代子 展
『Arrangement』

白洲千代子展 Arrangement 2021/3

日程:2021年3月13日ー3月27日
時間:11:00-17:30
休廊:月曜日

場所:Gallery YORI
東京都渋谷区上原3-25-2
Tel.03-3467-3933

1.アクセサリー作家になるまで

父方の祖父は実業家・白洲次郎、祖母は文化人・白洲正子。母方の祖父は文芸評論家・小林秀雄。

文化人として、サラブレッドのような血筋ながら、千代子さんの記憶に残るのは、幼い頃住んだ鎌倉の自由さでした。

「我が家の一族では、まともな生活者がいません(笑)。でも、みんな自由で楽しそう。人間としての面白みがあるんです。環境が影響しているのか、もの作りの際にも、既製のものではつまらないと感じてしまうところがあります」

そんな千代子さんがアクセサリー出会うのは、高校を卒業後、進路に迷っていたときでした。

「大学に行くつもりはなかったので、専門学校を探していたとき、母から曾祖父の話を聞きました。小林秀雄の父、豊蔵がベルギーでダイヤモンドの加工研磨技術を学び、初代ミキモトの工場長だったのだというのです。そんなことから、宝石に興味を持ち専門学校に入りました」

卒業後、一時は会社勤めをしていた時期もありましたが、病気退社し家にいたとき、千代子さんがアクセサリーを作っていることを知った友人が、個展の開催を勧めてくれたのです。

「どうせ何もしないでしょ」と彼女が会場を探すなど、すべて段取りしてくれて……

「あれから、20数年経ちました」

白州千代子クロス

左)K18ペンダント(めのう、ターコイズ、パール、バクトリアのガラス)
右)K18ペンダント(ターコイズ、パール、陶、めのう)

2.アクセサリーが生まれるまで

白洲千代子さんのアクセサリーの基本はビーズです。その一番の特徴は、既製のチェーンを使わず、編み上げた金や銀などのワイヤー使うものが多いところ。

「既製のチェーンは形が限定されていますが、ワイヤーだとつける人の体型に沿って形が変わり、好きなように使えるところがおもしろい。指輪一つでも、鎖に通してペンダントにしたり、金具をつけてブローチになったり。つける人が自由に楽しんでほしいんです」

エメラルドネックレス

エメラルド、パール、K18ネックレス

その作業場に揃った素材は、ガラス玉や貴石をはじめ、純金、漆、勾玉、トンボ玉、自ら焼いた陶器、毛糸、骨董などと多岐にわたり、色もカラフルです。

白州千代子ピアス

上)フェルト、パール、ガラス、ピアス
下)水晶、ガラス、金属パーツ、ピアス

「製作作業は、まるで宝探しみたい(笑)」

作品は、どのように生まれるのでしょう?

「動物や植物、美術品を観たとき、また散歩中なんかにインスピレーションが沸きます。その中で、数字やアルファベットなど、マイブームが起きるんです。それをテーマとして一定の期間製作します。

個展のためとか、何か明確な目的に合わせて作ることはありませんね」

私自身、白洲千代子さんのアクセサリーに小動物に通じる可愛さを感じていたので、その話を聞いて、なるほどと思いました。

彼女のアクセサリーは、作られるのではなく“生み出される”ものなのでしょう。

そして、そこには独特のこだわりが。

「一つのテーマで製作している間は、BGMを一人の作曲家か歌手に決めて、曲を聴きながらひたすら製作し続けます」

自分の感性を大切にしつつ、製作に集中するアーチストとしての横顔が伺えるエピソードです。

白州千代子陶ブローチ

陶ブローチ

3.白洲千代子アクセサリーの楽しみ方

個展などに並ぶさまざまな作品を眺めると、誰もが思わず笑顔になってしまうのが、白洲千代子さんのアクセサリー。自由に楽しんで、というのが千代子さんの一番の気持ちですが、彼女のオススメの楽しみ方がありました。

「使わないときは、しまい込まずに、壁にピンで止めて絵画かオブジェみたいに楽しんでほしいですね」

白州千代子ネックレス、ブローチ

K18ネックレス)カーネリアン、パール、アクアマリン
K18ブローチ)緑染めのう、パール、ボタン

確かに、壁にかけて生活の中に向き合っていると、作品がいろいろな表情を見せてくれそうです。そんな個性的なデザインであっても、質の良い本物の貴石を使っているので、身に着けたときキッチュな感じになりません。

若い時より30代、40代以降の大人の女性だからこそこなせる可愛さ。ブランド品にはない個性で、自分を印象づけたいときにオススメのアクセサリーです。

4.まとめ:素顔の千代子さん

白州千代子さんのアクセサリーは、私も何点か愛用しています。素顔の千代ちゃんは、本人は全然自覚がなくて自然体なのですが、独特の空気感をまとっている人。どんなものでも本当に良い物に対して、気負わず、素直に向き合っていることをいつも感じています。

身につけていて楽しく、感性も磨いてくれるような千代子さんのアクセサリーを、ぜひ一度手に取ってみてください。

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この記事を書いた人
瀬津 由紀子

1963年東京生まれ。家業である古美術商・瀬津雅陶堂を手伝う傍ら、フリーライターとして活動。講談社、世界文化社の婦人誌を中心にインタビュー、アート、旅行などの取材、ライティングを行う。
2000年より株式会社オフィス・アイシス代表取締役。「エイルナビ」編集長

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