世界的デザイナーを多く輩出している北欧。デザイン性も機能性も優れた北欧家具は日本でも大人気な一方、知っている家具でもデザイナーの名前がわからない、デザイナーと家具の名前が一致しない、ということも多いのではないでしょうか?
今回は、映画やドラマにも登場する代表的なデザイナーズ家具をとそのデザイナーを紹介します。
1. アルネ・ヤコブセン(Arne Jacobsen):デンマーク
【アント・チェア】や【セブン・チェア】など、現代の椅子のデザインに多くの影響を与える作品を数々生み出したとされるアルネ・ヤコブセン。
代表作【エッグ・チェア】は、映画“バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2”、【スワン・チェア】は映画“Men in Black 2( メン・イン・ブラック2)” に登場するなど、少しレトロで近未来的なデザインがSF映画で大人気。
部屋の主役になる椅子が欲しい…そんな願いを叶えてくれるのがアルネ・ヤコブセンデザインです。

アルネ・ヤコブセン【スワンチェア】
2. アルヴァ・アアルト(Alvar Aalto):フィンランド
映画“かもめ食堂”に登場するのが、アルヴァ・アアルト(アールト)の代表作、【66 CHAIR(チェア)】です。特殊な技術で素材の木を曲げることにより、金具の使用を最小限に抑えているので、どんな部屋にもよく合います。
近年ではメーカーのArtek(アルテック)が無印良品と共同で【バーチ材スツール(E60)】を作ったり、「ムーミン」とコラボする(2015年に販売終了)など、フットワークの軽さも魅力です。

(出典)アルテック【66 CHAIR】
3. ヴェルナー・パントン(Verner Panton):デンマーク
世界初のプラスチック一体成形チェア【パントン・チェア】は、一体成形ならではの滑らかさとスタイリッシュなデザインで、何度見ても美しいの一言。
【パントン・チェア】はアルネ・ヤコブセンの【スワン・チェア】と同じく、映画“Men in Black 2( メン・イン・ブラック2)”に登場するほか、2006年9月から2010年4月まで放送されたアメリカの大人気ドラマ“アグリー・ベティ”で主人公ベティが愛用する椅子としても有名です。
パントンデザインは個性的でカラフルなものが多いので、一つ置くだけで部屋のアクセントになります。

ヴェルナー・パントン【パントンチェア】
4. エーロ・アールニオ(Eero Aarnio):フィンランド
代表作、【ボール・チェア】【パスティル・チェア】【バブル・チェア】はいずれも、一般的にイメージする北欧家具とは一線を画した独創的なデザインです。
そのためエーロ・アールニオの作品が一躍有名になったのは北欧ではなく、ポップカルチャー全盛期のアメリカでした。【ボール・チェア】はその近未来的なデザインから、アメリカの映画“2001年宇宙の旅”にも登場。日本では雑誌“プレイボーイ”の表紙も飾っています。
存在感のあるインテリア、それがエーロ・アールニオ作品です。

(出典)アデルタ【ボールチェア】
5. エーロ・サーリネン(Eero Saarinen):フィンランド、アメリカ
代表作【チューリップ・チェア】は、名作家具の宝庫、映画“Men in Black 2( メン・イン・ブラック2)”に登場しています。
フィンランド生まれ、アメリカ育ちのサーネリンデザインは、北欧家具のシンプルさとアメリカポップカルチャーとが見事に融合していると言っても良いでしょう。
主張しすぎないけど華やかなのが、サーネリンデザインの特徴です。

(出典)knoll【チューリップチェア】
6. ハンスJ.ウェグナー(Hans J. Wegner):デンマーク
北欧家具の巨匠、ハンスJ.ウェグナーと言えば、【Yチェア】と【ザ・チェア】。
【Yチェア】は2016年の大ヒットアニメ映画、“君の名は”や2017年のドラマ“あなたのことはそれほど” に登場し、【ザ・チェア】は、デンマーク王室やケネディ大統領、オバマ大統領などに、公の場で使われています。

ハンスJ.ウェグナー【ザ・チェア】
北欧家具の正規品は受注生産がほとんどで、購入するまで手に取ることができないことが多い中、【Yチェア】や【ザ・チェア】は人気商品のため、日本でも常時取り扱っている代理店が多いです。【Yチェア】は大塚家具のショールームにあるので、一度触れてみてはいかがでしょうか。
7. フィン・ユール(Finn Juhl):デンマーク
芸術的なまでに美しい作品が多いことから、“家具の彫刻家”とも言われるフィン・ユール。
“世界で最も美しい肘を持つ”とされる【No.45 イージーチェア】、ペリカンが翼を広げたようなフォルムの【ペリカンチェア】、日本の数寄屋造りの影響を受けた言われる【カップボード】などの代表作があります。
さらに、日本の家具メーカー“キタニ”とライセンス契約を結んだり、長野県白馬村に全てをフィン・ユール作品で揃えたプライベートホテル【ハウス・オブ・フィン・ユール白馬】を2017年にオープンするなど、日本との縁も深いデザイナーです。
インテリアとしての魅力も十分なフィン・ユールデザイン、一つあるだけで美術館のような穏やかで豊かな空間になります。

(出典)ハウス・オブ・フィン・ユール白馬
8. ブルーノ・マットソン(Bruno Mathsson):スウェーデン
ブルーノ・マットソンは親日家として知られ、日本の家具メーカー“天童木工”と契約しました。
家具工場に生まれ、子どもの頃から家具作りに触れてきたマットソンデザインの椅子は、単に見た目の美しさだけでなく、人間工学に基づいて座り心地を徹底的に研究して作られています。
そのマットソンが、日本人が日本の住居(和室)で使うための椅子をデザインたのが、畳に傷がつきにくいソリ型の脚を持つ【ハイバックチェア】です。
この他マットソンは、日本の生活習慣を考えた家具のデザインを続けました。純和風の家屋に北欧家具を取り入れたい。そんな時にオススメなのがマットソンデザインです。

(出典)天童木工【ハイバックチェア】
まとめ
日本でも人気の映画やドラマに登場していたり、意外な縁がある北欧デザイナーと家具。そもそも北欧家具は日本の文化に影響を受けて発展した歴史があります。その歴史やストーリー、デザイナーの思いに触れると、ますます北欧家具の魅力を感じるのではないでしょうか?
今回ご紹介した北欧家具は高級家具店などで目にしやすい商品なので、ぜひ一度目で見て手で触れてみて欲しいと思います。