以前、インテリア専門店の仕事をしていたライターの阿部です。
このソファをご存じでしょうか?ホテルやパブリックスペース、またはドラマなどで目にしたことがある方も多いと思います。
これは、1928年にデザインされながら、今なお世界中で根強い人気を持つ【コルビジェ ソファ LC3】です。正規品ともなると、1人掛で約55万円から、2人掛だと約84万円という高級品。
一つあるととても心が豊かになるデザイナーズ家具ですが、良い家具となるとやはりそれなりのお値段がします。
たとえば、同じく人気の【バルセロナチェア】も、Knoll(ノール)社の正規品となると約75万円から。いくら上質とわかっていても、簡単には買えないですよね。
でも、正規品とほぼ同じデザインで格安で購入できる家具があるのをご存じですか?それが、リプロダクト(レプリカ)です。
ただし、リプロダクト家具はデザインが同じといっても品質は玉石混淆。せっかく格安でも、品質が悪ければとても豊かとは言えません。
そこで、リプロダクト品などお手頃な家具を選ぶ際に、プロに聞いた失敗しないためのチェックポイントを紹介します。
1. 失敗しない家具選び5つのチェックポイント
家具によって確認したい点は異なりますが、多くの家具に共通する見極めのポイントは5つあります。
1)家具の裏面
見た目が良くても、メーカーの技術力やこだわりの差が現れるのが家具の裏面。“端まで綺麗に貼り合わせているか”、“耐久性の低さをカバーするために過剰な支えがないか”などを確認しましょう。
ソファの場合は座面の裏だけでなく、背もたれの裏も見て、座面の中身も教えてもらうようにしてください。
2)家具表面のバリやヨレ
家具表面のバリやヨレは、見た目の影響は小さくても使用感には大きな影響を及ぼします。
プラスティック製のイームズ“シェルチェア”、木製のアルネ・ヤコブセン“セブンチェア”など、デザインが滑らかな家具で特に確認しておきたいのがバリです。
バリとは加工した時にできる不要な突起で、デザイン性を損なうだけでなく、手で触れた時に怪我をする原因にもなります。家具の表面だけでなく、縁や裏まで触って確認しましょう。
布や革張りのソファやイスでは端やファスナー周りにヨレが生まれ、破れやすくなっていることがあるのでよく見ておきたいですね。
3)家具の継ぎ目
椅子やテーブルの面と脚、ソファのフレームの継ぎ目はデザイン性と耐久性を左右する重要なポイントです。
たとえば、ハンスJ.ウェグナーの【ザ・チェア】は、フィンガージョイントという継ぎ目を見せるデザインが施されています。デザインの意図をあらかじめ調べておくと、リプロダクト品選びの基準も持ちやすくなるでしょう。

ハンス・J・ウェグナー【ザ・チェア(The Chair)】
4)家具の素材:レザーとファブリック
ソファや椅子では、座面の素材確認は座り心地を左右する重要なポイントです。ただし、必ずしも正規品と同じ素材が良いというわけではなく、自分の使い方や目的にあった素材を選ぶことが大切。
たとえば、正規品の素材は天然皮革でも、室内でペットを飼っていたり、小さな子どもがいるといった場合には、手入れのしやすい人工皮革がオススメです。
5)家具店に足を運ぶ
一番確実なのは、販売店舗に足を運ぶことです。カタログやインターネット上の情報だけではわからない、座り心地や手触り、家具のぬくもりなどを感じることができます。
店舗に狙いの商品がなくても、お店の雰囲気や置いてある家具の様子から、そのお店の家具へのこだわりや専門性の高さがわかります。
2. インターネット通販で確認したいポイント
店舗が遠方の場合、また最近では店舗を持たず、インターネットでの通信販売のみの家具屋も多くなりました。インターネットで家具を購入するときには、次の2点を確認するようにしてください。
6)購入者の口コミ
大手のインターネットショッピングモールでは、購入者が口コミを投稿したり、採点できるシステムを導入しています。実際に購入した人の意見はとても参考になります。
ただし、立場や価値観は人それぞれ違います。購入者の年代や目的などを、よく確認することも大切です。
7)お客様が購入した家具の写真を掲載している
購入した家具の写真を掲載しているショップは、購入後のフォローも期待できます。スタジオでプロが撮影した写真と違い、一般の家庭に置いた様子がわかるので、購入後のイメージも膨らみます。
3.リプロダクト家具のチェックポイントまとめ
もし気になる家具があるのなら、紹介した7つのポイントを参考に、家具店やオンラインショップを見てみましょう。目の付け所が変わると、これ!という商品に出会いやすくなりますよ。