日本人女性はストレッチが好きと言われますが、これまで行われてきた身体をゆっくり伸ばすストレッチ(スタティックストレッチ)に代わって、最近、注目されているのが身体を動かすダイナミックストレッチです。
ダイナミックストレッチとは具体的にどんなものなのか、そのメリットとともに、普段運動しない40代以上の女性向けに、毎日の習慣に取り入れて欲しい3種のダイナミックストレッチを紹介します。
※ダイナミックストレッチをすぐにトライしたい方は、下記Contents欄から4章をクリックしてくださいね。
1. ダイナミックストレッチとは
ストレッチというと、一概に“身体をゆっくり伸ばす”ことと思われがちですが、ストレッチには2種類あります。
・スタティックストレッチ:伸ばす動きがメイン。今までのいわゆるストレッチ。
・ダイナミックストレッチ:曲げたり伸ばしたりの動きを伴うストレッチ。
ダイナミックストレッチは、これまで多くの人が実践して来たスタティックストレッチと多くの面で異なります。
どちらが優れているというものではなく、目的やタイミングによって使い分けると効果的です。
1-1. ダイナミックストレッチの特徴
ダイナミックストレッチでは、体を大きく動かすため、初めて見た人は「これがストレッチ?」「こんなに激しく動いていいの?」と思ってしまうかもしれません。
筋肉は、温まると力を発揮するという特性があります。大きな動きをリズミカルに繰り返す事で筋肉が温まり、体をアクティブモードに切り替えるのです。
程よく心拍数が上がり、交感神経が優位になることも、ますます体を活発にします。
関節や筋肉を伸ばす動きが多いスタティックストレッチに対し、関節の曲げ伸ばしが多いのもダイナミックストレッチの特徴です。
1-2. 2つのストレッチを比べてみた
近年、ウォームアップには、スタティックストレッチよりダイナミックストレッチの方が効果的と注目されています。
ダイナミックストレッチとスタティックストレッチの主な違いは3つです。
比較 | ダイナミックストレッチ | スタティックストレッチ |
目的 | 身体をアクティブモードにする | 身体をリラックスモードにする |
活動のパフォーマンスを上げる。 集中力を高める | 老廃物を流して、身体を回復させる | |
タイミング | 運動前(ウォームアップ) | 運動後(クールダウン) |
起床後 | 就寝前 | |
動き | リズミカルに動かす | じっくり伸ばす |
筋肉を収縮させる | 筋肉を伸ばす |
2. ダイナミックストレッチの効果
運動や仕事の前など、これから活動をしようという時に行うと効果的なダイナミックストレッチには、毎日の生活の質を向上させる嬉しいメリットがたくさんあります。
2-1. 集中力がアップする
ダイナミックストレッチにより血の巡りが良くなることで、頭がスッキリします。朝起きがツライという人にもオススメです。
2-2. ダイエット効果がある
ダイナミックストレッチは大きな動きを伴うため、継続して行う事で筋肉がつきます。筋肉がつけば基礎代謝もアップし、太りにくい体を作ることができます。
筋肉や関節の可動域が広がることで、動きが大きくなるので、カロリーも消費しやすくなるでしょう。
2-3. 冷えの解消に役立つ
ダイナミックストレッチで血の巡りが良くなることに加え、発熱作用のある筋肉がつくため、体温が上がり冷えの解消に役立ちます。
2-4. むくみの解消に役立つ
ダイナミックストレッチはリンパの流れを良くするので、水分や老廃物が溜まりにくくなります。
2-5. 便秘解消に役立つ
ダイナミックストレッチは内臓器官の血の巡りを良くすることから、腸の動きも活発になります。
2-6. ストレス解消効果がある
運動にはストレス解消効果があると知られていますが、ダイナミックストレッチでもその効果を実感できるでしょう。
2-7. 運動による怪我の予防効果が高まる
ダイナミックストレッチは筋肉の柔軟性を高め、関節可動域を広げるため、肉離れや足のつりといった運動による怪我の予防効果が高まります。
3. 意外と身近!これもダイナミックストレッチ
3-1. ラジオ体操
音楽に合わせて、体を動かすラジオ体操は身近なダイナミックストレッチです。場所を取らずに数分で、首から足先の関節までバランスよくストレッチできる、とても優れたダイナミックストレッチと言えます。
3-2. ブラジル体操
サッカー選手がウォーミングアップで、列を作って前に進みながら手や足などを動かしているのを見たことがあるでしょうか。ブラジル出身のサッカー選手にルーツを持つとされるのが“ブラジル体操”です。現在では、さまざまなスポーツに採り入れられています。→ブラジル体操・動画
3-3. マエケン体操
メジャーリーガーの前田健太投手(元 広島東洋カープ)が登板前にグラウンドの片隅で行う、前かがみになって肩を素速くグルグルと回す体操です。→マエケン体操・動画
4. 朝1分!オススメのダイナミックストレッチ方法
普段身体をあまり動かさない人は、いきなりスポーツを始めるより、生活の中で習慣になる動きを身につける方が長続きしやすいです。
まずは寝起きのダイナミックストレッチを習慣化させてみませんか?
一日のスタートに、簡単で効果的な、3つのダイナミックストレッチを紹介します。
【注意点】
・明らかに痛みや腫れがある時はしない!:筋肉が緊張してストレッチの効果を十分に感じられず、痛みを悪化させる可能性もあります。
・ストレッチ中に呼吸を止めない!:呼吸を止めてしまうとストレッチ効果が半減するばかりか、血圧を急激に上昇させる危険性があります。慣れないうちは、身体を動かしている間も、吸って吐くを意識して呼吸を続けてください。
4-1. 足首ワイパー
寝起きの重いカラダには、カラダの下の方から動かして血の巡りを良くすることが大切です。
1)足首を伸ばす、反らせるの動きを、合わせて20回繰り返します。ふくらはぎの“腓腹筋(ひふくきん)”が伸び縮みを繰り返すことで、下半身の血液が上半身に戻りやすくなります。
2)車のワイパーのように足首を外側、内側に合わせて20回動かします。
ブラブラと振るのでなく、足首を90度にしっかりと固定してゆっくり行うことで、太ももの内側の筋肉“内側広筋(ないそくこうきん)”を鍛えられるので、太もも引き締め効果があります。
4-2. ヒップ叩き
足の付け根にはリンパ腺が多いので、ストレッチにより水分や老廃物が流れやすくなります。
仰向けのまま足を上げ、腰と膝を折り、足首を曲げたままかかとでお尻を叩きます。トントンとリズミカルに20回。
かかとがお尻につかない場合は、届くところまでで構いません。太もも裏の“大腿二頭筋”を鍛えて引き締めることができます。
慣れないと少しキツイかもしれませんが、できる範囲でトライしましょう。
NGポイント!図のようにつま先を伸ばしてしまうと、足の裏の筋を痛める可能性があるので、足首は必ず曲げるようにしてください。
足首を曲げるために力を入れると、スネに沿うように付いている“前脛骨筋(ぜんけいこつきん)”を鍛えることができます。前脛骨筋はつま先を上げる働きがあるので、転倒やつまずき予防にも効果的です。
4-3. 斜め胸開き
ゆっくりと起き上がって布団や床であぐらをかいて、背筋をまっすぐ伸ばします。(固めならベッドの上も可)
胸の前で一度両掌を合わせた後に、左手は上に、右手は下にと斜めに開きます。再び胸の前で掌を合わせ、左右逆に伸ばしましょう。
1秒で伸ばして1秒で戻す、それぞれ10回繰り返します。肩の“三角筋”と胸の“大胸筋”、背中の肩甲骨など上半身の大部分がストレッチされ、呼吸もスムーズになります。
NGポイント!前かがみになる、顎が出る、肩が上がるなどはNGです。
この姿勢では胸や背中のストレッチが十分にできないので、背筋を伸ばし肩が上がらないようにしてください。
まとめ
ダイナミックストレッチの魅力は、ストレッチ後の爽快感です。
血の巡りが良くなることで視界が明るくなり、頭がスッキリしてやる気も沸いてくるでしょう。
とくに体が重いな、冷えているなと感じる日ほど、足元から血の巡りが良くなるので、ストレッチ後に身体がポカポカしてくるのを感じます。
スポーツは身体にいいと知りながら、なかなかお尻が重いなら、毎日の生活習慣にプラスできる簡単なダイナミックストレッチから始めてみませんか。
身体を動かす習慣をつけることが、ウォーキングやトレーニングへのきっかけになります。はじめは一つからでも良いので、ゼヒ試してみてください!