こんにちは、健康運動指導士の阿部です。
ストレッチというと、「いつするのが一番効果的ですか?」という質問を伺うことがあります。
効果的なストレッチタイムは、目的によって異なりますが、もしあなたがリラックスや健康のためにストレッチをしたいのであれば、ベストなストレッチタイムは明確です。
本記事は、一番気持ち良く効果的なストレッチタイムとそのメリットを紹介します。
1. 効果的なストレッチは、断然“夜”!
心地よくリラックスできて、健康にも効果的なストレッチタイムは“夜”,特に“入浴後”です。
「朝は落ち着いてストレッチする時間がないし、昼間は仕事中でできない…」ということで夜にストレッチを行なっているあなた、正解です!入浴後なら更に良いです。
では、なぜ夜の入浴後のストレッチが効果的なのでしょう。
2. 夜、入浴後のストレッチが効果的な理由
夜の入浴後のストレッチが効果的な理由を知れば、ストレッチに対する意識が高まり、効果も一層感じられるようになります。
2-1. 1日動いて体がほぐれている
夜のストレッチをおすすめする最初の理由は“体がほぐれている”ことです。
「え、ストレッチは体をほぐすためにするんじゃないの?」そう思った方もいるかも知れません。
確かにストレッチは体をほぐすのに有効ですが、こわばった状態で行うより、すでにある程度ほぐれた体で行う方が無理なくストレッチを行うことができます。
たとえば、体がほぐれていない代表的な時間が寝起きのタイミング。朝起きたての身体はこわばっていませんか?
その状態でいきなりストレッチを行うと、いくらストレッチといえども、伸ばした箇所に痛みを感じたり、下手をすると怪我の危険性さえあります。
一方、1日中動いた後の体は適度にほぐれています。このタイミングでストレッチをすることにより、痛みを起こしにくく、リラックスしてストレッチできるのです。
2-2. 体が温まっている
体を温める(正確には、筋肉を温める)ことが、ストレッチに効果的なのは、2012年に長崎大学のチームによって発表された論文※にも書かれていますが、一日の中で最も身体が温まっている時と言えばお風呂上がりですね。
※「The effect of heat applied with stretch to increase range of motion」
論文内では被験者が20〜30代の男性がほとんどを占めていることは考慮すべきですが、男性に比べ筋肉量が少ない女性でも、効果的であると考えてよいでしょう。
このことから、入浴後のストレッチは暖かい部屋で行った方がさらに効果的です。冬場は暖房器具を使って、部屋を温めておきましょう。
2-3. 副交感神経が優位になっている
人間が生きていく上で、心臓や内臓を動かすなど、意志とは関係なく動く神経を自律神経といいます。この自律神経は、活動状態で働く交感神経と休息や睡眠時に働く副交感神経によって成り立っており、双方がバランス良く働くことで健康が維持されます。
一般的に、副交感神経が優位になるのが夜です。この状態になると血管が広がり、血流も良くなって筋肉が緩み、ストレッチの効果が高まります。
血流が良くなっていると、同時に酸素や栄養素も全身を巡りやすくなっているので、このタイミングでストレッチすれば、疲れた体の修復という意味でも効果的ですね。
副交感神経を優位にするために、更に重要なのが入浴です。38〜40℃のぬるめのお湯にゆっくりと浸かることでストレッチの効果が高まります。
>>>効果的な入浴法は、こちらの記事もご参照ください。
「疲れ、リラックスなどに効果的な10の入浴方法」
3. 入浴後の夜ストレッチがもたらす5つのメリット
入浴後の夜ストレッチには、具体的にどんなメリットがあるのか紹介します。
3-1. 安眠効果
安眠を得るポイントは、“深部体温”(体の奥の体温)を下げることです。深部体温が下がることで眠気を催し、深い睡眠を獲得することができると言われています。
深部体温は、自分の意志で下がるものではありません。そこで有効な方法が、一旦、体温を上げることです。
入浴とストレッチの組み合わせにより深部体温が上がると、体は元に戻そうと体温を下げはじます。つまり、“深部体温が下がり”、安眠につながるのです。
ただし深部体温が下がるまでには時間がかかるので、寝る時間の1時間前までには入浴とストレッチが終わるようにコントロールしてくださいね。
3-2. 疲労回復
入浴と効果的なストレッチによって、全身の血流が良くなり、体の端々に溜まった疲労物質が流されやすくなります。
これにより酸素や栄養素が、身体の隅々にまで行き届きやすくなり、私たちが本来持っている疲労回復力を高めます。
3-3. 1日使った筋肉のメンテナンスができる
疲労回復力を高めるのと同じ理由で、筋肉のメンテナンスをすることもできます。
私たちはアスリートでなくても、筋肉を使わない日はありません。立ちっぱなしの仕事でも、座りっぱなしの仕事でも、 筋肉は使われているのです。
1日使われた筋肉は、夜にはヘトヘト。疲労物質が溜まり、時には傷ついています。
筋肉のメンテナンスに必要なのが、疲労物質を流して新鮮な酸素や栄養素を補給してあげることです。
それには血流を良くすることが大切。ということで、入浴とストレッチが重要になってきます。メンテナンスによって、筋肉の柔軟性を高めておけば、怪我を防いだり、疲れにくい身体になることも可能です。
3-4. 肩凝りや腰痛の予防
肩凝りや腰痛は、肩や腰周辺の筋肉が凝り固まることにより起こります。入浴とストレッチで筋肉をメンテナンスし、柔軟性を高めておくと、ひどい肩凝りや腰痛になりにくくなるのです。
3-5. 代謝がアップする
加齢が進むと、誰にでもある悩みが代謝の低下。メタボや過労の原因としても、よく耳にしますね。
入浴とストレッチは、この代謝をアップさせる働きがあります。それだけでダイエット!は難しいにしても、健康的な生活の基礎として、代謝アップの有効性は考えておきたいところです。
入浴とストレッチだけでもカロリーは消費しますので、若干のダイエット効果は期待できますが、それ以上に注目したいのが、“筋肉を有効に使える状態になる” ということです。
私たちが意識的に動かすことのできる筋肉(骨格筋)は、全身に約400あると言われています。動作に合わせて必要な筋肉を使うわけですが、普段使っていないと、必要な時に使うことができません。
たとえば、片手を挙げるのに使う筋肉が、本来100あったとします。しかし、運動不足で普段から体をあまり動かしていない人は、80の筋肉しか使うことができません。
入浴後のストレッチでいつも筋肉をメンテナンスし、動かしておけば、普段の生活で使える筋肉が増えます。
筋肉を柔軟に動かすために効果的なストレッチを毎日の生活に採り入れることで、代謝が上がり、動くのが楽な身体を取り戻すことができます。
>>>早速ストレッチを試したい!なら、こちらの記事もご覧ください。
「健康運動指導士が教える、睡眠60分前の安眠ストレッチ◆やり方7選」
4. 【番外編】朝ストレッチのメリットと注意点
本記事では、夜入浴後のストレッチをおすすめしてきましたが、朝のストレッチは必ずしも効果がないわけではありません。最後に番外編として、朝ストレッチのメリットと注意点をお伝えします。
4-1. スッキリと目覚めたい人のためにオススメの朝ストレッチ
朝ストレッチは、スッキリと目覚めたい方や朝から精力的に活動したい方にオススメします。
ストレッチは血行を良くし、体中に酸素を行き渡らせてくれるので、寝起きのボーッとした頭もスッキリと目覚めやすくなるからです。
また、物理的に体に刺激を与えることにより、体も目覚めモードに入っていきます。
朝が苦手でストレッチすら難しい、という人は布団の中で足首を上下に動かすふくらはぎのストレッチからはじめてみましょう。血の巡りが良くなり、徐々に頭も体も目が覚めてくるはずです。
起き上がれるようになったら、今度は布団の上で座ってできるストレッチ、最後に立って行うストレッチと切り替えていきましょう。
4.2 朝ストレッチで気をつけること
朝ストレッチは、怪我を防止するため、ゆっくりじんわり行います。
就寝中は、寝返りを除いてほとんど体を動かしません。
筋肉は動かしていないと柔軟性を失う特性があるため、寝起きの体は硬くなっています。
そこでいきなり大きな動きのあるストレッチを行うと、筋肉が傷つくなど、怪我をする可能性があります。
特に寝違えなど、痛みや違和感を覚える場合は十分注意し、無理にストレッチを行わないようにしましょう。
寝ている姿勢から、いきなり座ったり立ったりなどの姿勢をとると、血流や血圧が急激に変化して立ちくらみやめまいなどを引き起こしかねません。
高血圧や循環器系に心配な点がある人は、主治医に相談してから行うようにしてください。
まとめ
夜、入浴後のストレッチは、リラックスと健康のために大変効果的です。一方、緩やかな朝ストレッチは、身体をすっきり目覚めさせる効果があります。
更に軽い筋トレも合わせると、効果大!
「40代女性のための、自宅で筋トレガイド」
ダイエットや体力増進など、身体作りの第一歩として、毎日の生活リズムにストレッチタイムを組み込んでくださいね。