こんにちは、健康運動指導士の阿部です。
あなたは「ぐっすり眠れない…」「毎朝目覚めがスッキリしない…」こんなことはありませんか?
熟睡するために有効な方法の一つがストレッチです。
ストレッチは家でできるリラックス方法としても取り入れやすいので、覚えておいて損はありません。
この記事では、寝る前の3分を使って簡単にできるストレッチのやり方を紹介します。
1.安眠ストレッチの2つのポイント
睡眠不良を解消する安眠ストレッチのポイントは、深部体温(身体の内側の体温)を上げることと、入眠リズムをつくることです。
1-1.深部体温を上げる理由
深部体温とは、身体の内側の体温です。普段、体温計で測る体の表面温度に比べて深部体温は少し高い傾向にあり、日本人は36.9℃前後と言われています。実はこの深部体温こそが、睡眠に大きく関わっているのです。
よく知られているように、睡眠では身体が休むレム睡眠と、脳が休むノンレム睡眠のふたつがあり、眠っている間はそれぞれの状態が交互に訪れます。
眠りにつくときに深部体温が下がると、最初の90分に訪れるノンレム睡眠の質を高め、睡眠全体の質が上がると言われています。
では、どうしたら深部体温が下がるのでしょうか。
そのために有効なのがストレッチです。ストレッチをすると深部体温が上がります。そして一旦上がった深部体温は、そのままでいると60〜90分後に自然に下がっていきます。
つまり、寝る60〜90分前にストレッチをすることで、その後徐々に深部体温が下がり、ノンレム睡眠の質を上げるのです。
1-2.入眠リズムを確立する理由
人の脳は、一度リズムが出来ると、同じ条件下に置かれた時、そのリズム通りに動こうとする特性があります。このような特性を入眠時にも活かすことで、脳がより睡眠に集中できます。
入眠リズムの作り方は、さまざまです。同じ時間に寝る、「夕食→入浴→睡眠」という順序を守る、同じ枕で寝るといったことも入眠リズムの作り方の一つです。
そのリズムに採り入れていただきたいのがストレッチ。安眠にも効果があるストレッチを入眠リズムに組み込めば、一石二鳥です。寝る前にストレッチを行う習慣をつけて、脳に入眠を知らせてあげましょう。
2.【画像で解説】5分でできる安眠ストレッチ7選
安眠ストレッチのやり方を画像を使って解説していきます。
2-1.肩甲骨引き寄せストレッチ
肩甲骨のまわりには、たくさんの筋肉があります。これらの筋肉は、肩甲骨という大きく可動域がとても広い骨を支えているので、凝り固まりやすいです。
デスクワークやパソコン作業、スマホなどの現代生活が相まって、ガチガチになっている人も少なくないでしょう。
肩甲骨周りをストレッチすることは、たくさんの筋肉を動かすことになるので、深部体温を上げることにつながります。
やり方:両手を高くまっすぐ天井に向かって伸ばします。しっかり伸ばしたら、その状態で3秒間キープしましょう。
※肩は上げずに腕だけを上げるようにしてください。
ひじを曲げ、胸を開きながら両ひじを背中の後ろでくっつけるイメージで引き寄せ、自然に呼吸しながら3秒間キープします。
前かがみになったり、腰を反らせたりしないよう、胸を張って肩甲骨を引き寄せることが大切です。
※肘だけではなく、肩甲骨ごと寄せるイメージを持ちます。
※肩が上がらないように気をつけましょう。
伸ばし3秒・引き寄せ3秒の計6秒を、5セット繰り返します。
2-2.肩回しストレッチ
肩回しも、肩甲骨を動かすことを意識して行うことが大切です。
やり方:両手をそれぞれ両肩にあてます。肩を軽く掴むように置いた方が安定します。
ゆっくりと前に10回、回しましょう。ひじを大きく、耳の高さまで持っていきます。
視線を目の高さより少し上に持ってきて、体が丸まらないようにしましょう。
※息は止めずに自然に呼吸します。
※肩が上がらないように注意し、肩甲骨も動かすことを意識します。
同じように、後ろに10回。合計30秒ほど行いましょう。
2-3.背中伸ばしストレッチ
背中全体のストレッチを行います。肩甲骨のストレッチでも述べたように、現代生活は背中が丸まってしまう姿勢が多いので、しっかり伸ばしていきましょう。
やり方:正座をして、両手を前方の床のなるべく遠い位置につきます。そのまま背中を伸ばすように、重心を前に持っていきます。
重心の移動中は、ゆっくりと息を吐きましょう。
気持ちよく伸ばせる限界の位置まで来たら、その状態で、20秒間ゆったりと呼吸を繰り返します。
※背中を丸めたり、腰の位置を反らせたりするのではなく、肩甲骨周辺が伸びるように意識することがポイントです。
床につくのが辛い、より背中をストレッチさせたい、という方はソファなど高さのあるものに手をついても構いません。
※肩に不必要な力が入らないようにしてください。
2-4.胸開きストレッチ
肩甲骨や背中など、身体の後ろ側をストレッチして動きやすくなったところで、胸をストレッチします。呼吸がしやすくなり、安眠にも効果的です。
やり方:手を背中の後ろで組み、手のひらを外側に向けて、肩甲骨を引き寄せながら胸を開きます。
※肩が上がらないようにしましょう。
手を少し挙げて、さらに胸を開きます。この時の視線は目の高さでまっすぐです。アゴを引きすぎたり、上げすぎたりしないようにしましょう。
このまま10秒、自然に呼吸をします。
2-5.ゆりかごストレッチ
体の後ろ側全体をストレッチします。
やり方:布団やヨガマット、畳など痛くないところの上に寝転がり、両手で膝を抱えます。
※膝を引き寄せずに、腕は自然に伸ばしておきます。
ゆらゆらと前後に揺れましょう。気持ちよく20秒です。
※背中全体がストレッチされていることを意識してください。
2-6.太もも【前】ストレッチ
太ももの筋肉(大腿直筋)は足の曲げ伸ばしに欠かせない筋肉で、立つ、座る、歩くなど日常的にたくさん使っています。気づかないうちに疲れがたまり、張っていることも少なくありません。
大腿直筋が張っていると腰痛などの原因にもなるので、ストレッチでゆるめてあげましょう。
やり方:クッションや座布団を重ねて、その前に正座します。
床に手をつくなどしてバランスをとりながら、ゆっくりと後ろに倒れます。
太ももの前が気持ちよく伸びているな、という所で20秒間自然に呼吸しましょう。
※クッション等が不安定だと、体に不要な力が入ってしまいます。しっかりと安定させて、上半身の力を抜くようにしてください。
クッションがあると充分に伸びないと感じる方や、体が柔くなってきた方は、床に背中を付けて伸ばしてください。
※膝と膝の間が開きすぎたり、ぺちゃんこ(お姉さん)座りになったりしないようにしましょう。
2-7.太もも【後】ストレッチ
太もも後ろにある筋肉も、とても重要な役割を持っています。前側のストレッチだけでなく、後側もしっかりと伸ばしましょう。
やり方:座って両足を開きます。無理に開きすぎる必要はありません。イタ気持ちいいくらいで結構です。
次に、右手の人差指と中指を、右足の親指にひっかけます。届かない場合はタオルなどを使ってください。
今度は左手を左耳の横につけて天井に向かって伸ばします。息をフーっと吐きながら上半身を右側に倒しましょう。
左手が右足先に触れるようなイメージで、右太もも裏をストレッチします。脇腹も伸びて一石二鳥です。このまま自然に呼吸をしながら10秒キープします。
※背中や腰を丸めずに、おへそを脚に近づけるようにするのがポイントです。
終わったらゆっくり上体を起こし、反対側も同様に左太もも裏をストレッチします。
3.ストレッチの注意点
安眠に効果的なストレッチも、やり方を間違えれば効果が出ないばかりか、体に悪影響を及ぼすことがあります。以下に挙げる注意点は守ってくださいね。
3-1.無理をしない
ストレッチの基本ですが、無理はしないでください。明らかに痛みがある動きや状態まで行わないようにしましょう。
頑張り屋さんほど、つい我慢してしまいがちですが、目的は安眠を促すこと。
痛みを我慢してまでストレッチを行ってしまうと、交感神経を刺激し深い眠りが妨げられる可能性もあります。筋肉や関節を痛めてしまう恐れもあるので、絶対に無理はしないでください。
3-2.違和感を覚えたら中止する
「無理をしない」ことに通じますが、痛みがなくても明らかにおかしいな、という違和感を覚えたら中止しましょう。体は正直です。体の声に耳を傾けてあげてください。
3-3.寝る直前に行わない
安眠ストレッチは一旦深部体温を上げることを目的としています。一度上げることにより、寝る時間にかけて深部体温が下がって、深い睡眠を得られるからです。
眠りに就く時間の遅くとも60分前までにはストレッチを終えられるように、計画的にストレッチを行いましょう。
4.安眠ストレッチのやり方まとめ
安眠ストレッチのやり方と、目的についてご紹介しました。一度覚えてしまえば、3分ほどで行うことができるメニューなので、ぜひ毎日の入眠リズムに採り入れてみてください。
あなたがぐっすり眠って、すっきり目覚める毎日を送っていただけたら嬉しいです。
(参考)「スタンフォード式 最高の睡眠」西野精治,三マーク出版,2017/2/28